外国人部下を効果的にマネジメント:文化の壁を乗り越え、チームの力を最大限に引き出す

外国人部下マネジメント 企業内の日本語教育管理
外国人部下マネジメント
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はじめに

ダイバーシティの推進に伴い、日本の職場環境は大きな変革期を迎えています。特に近年、外国人労働者の急速な流入は日本の職場風景を大きく変えており、少子高齢化が進む日本において、今後も外国人労働者は増えていくことは間違いないでしょう。
しかし、外国人部下をマネジメントする日本人上司の約3割が、「ノウハウがなく、手探りの状態」でマネジメントを行っているのが現状です。これまで日本人の同質性の高い職場を前提としてきた「勘」と「経験」に基づくマネジメントは通用しなくなり、外国人材の定着・活躍を促すためには、客観的な指針に基づいた「異文化マネジメント」が不可欠となっています。

本稿では、調査データと異文化理解に基づき、外国人部下を効果的にマネジメントし、貴重な戦力として活用するための具体的なポイントを解説します。

日本型マネジメントが抱える課題:言葉による表現力不足

言葉による表現力

外国人材の定着・活躍を促す上で、日本人の上司層に特に不足しているスキルは、「言葉による表現力」です。
日本人上司は一般的に、「友好的な態度で相手に接している」「相手の意見や立場を尊重している」といった対人的な「受容力」が高く、相手と敵対せず調和的なムードを作るマネジメントを得意とする傾向があります。これは、協調的な労使関係を優先する日本型雇用の特徴が現場レベルにも根付いているためです。

一方で、苦手な領域として明確に浮かび上がるのが、「自分の考えを言葉でうまく伝えられている」という言語的な表現力です。日本語のコミュニケーションでは「伝えたつもり」になってしまい、必要な情報が相手に伝わっていないケースが多く、この表現力の不足が外国人材の定着・活躍に影響することが分かっています。

日本の職場は、メンバーの同質性が高いことに加え、職務範囲が無限定でインフォーマルなコミュニケーションによって柔軟に仕事を進めるという、二重の意味での文脈依存性を持っています。これは職務範囲が明確な海外の働き方とは大きく異なり、外国人部下にとっては、なぜ役割外の仕事でも嫌がらずにやるのか、ということ自体が常識の範囲外となる場合があります。

また、パート・アルバイトの現場など、日本語能力が低い外国人材が多い場合は、「相手の考えを正しく読み取る」「感情や心理を敏感に感じ取る」といった「観察力」も、意思疎通の難しさから特に求められるスキルとなります。
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文化や価値観の違いを理解

外国人部下をマネジメントする上で、まず意識すべきは、文化や価値観の違いが仕事上の振る舞いに相互の誤解を生じさせることです。

謝罪に対する考え方の違い

日本で謝罪の言葉が感謝や依頼の意味でも使われるのに対し、海外(特にアメリカや中国)では謝罪は責任を全面的に認めて補償する意味合いを持つため、重大な誤り以外で安易に謝罪することはめったにありません。すぐに謝罪しない外国人部下に対し「不誠実だ」と誤った不信感を抱かないよう理解が必要です。また、日本人上司が謝罪の言葉を多用すると、部下から頼りがいがないと思われる可能性があるため注意が必要です。

マネジメントと評価基準の違い

日本を含むアジア文化圏ではチームワークや集団内の調和が重視され、チーム全体の成功が目標となります。一方、アメリカやイギリスなどの西洋文化では、個人の成果が重視され、自己主張が奨励されます。この違いを考慮せず、チームの成功を重視する日本の基準で個人として成果を上げた外国人部下を評価すると、「過小評価されている」と感じ、モチベーション低下や離職につながりかねません。評価基準は事前に透明性を高めて明確に伝える必要があります。

仕事とプライベートのバランス

欧州諸国などでは、家族が人生で最も重要な要素であり、仕事以外の生活に価値を置くことで生産性を高められると考えられています。このため、年間を通じて長い有給休暇を取ることが一般的です。プライベートよりも仕事を優先しがちな日本人上司は、定時退社や長期休暇を取る外国人部下に違和感を覚えるかもしれませんが、これは働き方に対する価値観の違いであることを理解することが、相互理解の第一歩です。

外国人部下を効果的にマネジメントする3つのコツ

外国人部下を効果的にマネジメントするために必要な要素は主に以下の3つです。

明確かつ具体的な指示

外国人部下に対しては、明確かつ具体的な指示が特に必要です。これは、彼らが曖昧な表現や暗黙の了解が通用しにくい低コンテクスト文化を背景に持つためです。
指示を出す際は、「いつまでに」「誰に」「どのように」「なにを」といった仕事の要素をすべて言語で明確に表現しなければなりません。単に「販売関連の作業、すぐに完了するようにしてください」といった曖昧な指示では、具体的に何をすべきか伝わらない可能性が高いです。
例えば、「来週の月曜日までに、先四半期の販売実績に関する詳細なレポート(総販売数、地域別の販売数、トップ製品の分析を含む)を準備してください」のように、指示の概要、期日、指示の詳細、フォローアップの提供を明確に含めることが重要です。また、指示が理解されたかを確認し、必要に応じて補足することも誤解のリスクを減らします。短期的には、業務ごとに「業務指示書」を文書で作成することも有効です。

ほめて育てる

外国の文化は直接的なフィードバックを重視し、個々の貢献を明確に評価します。外国人部下は明確なほめ言葉を通じて自己価値と達成感を感じる傾向にあるため、具体的なほめ言葉が非常に効果的です。

  • 大勢の前でほめる: 公にほめることで、部下の自信や自己重要感が高まり、職場の前向きな雰囲気作りにもつながります。
  • 望ましい行動とその結果を言語化する: 漠然と「Good」と言うのではなく、「あなたの戦略は非常に効果的でした。おかげで収益が大幅に増加しました」のように、どのような行動をほめているのか、その行動が企業にどのような利益をもたらしたかを明確に伝えましょう。
  • こまめにほめる: 低コンテクスト文化の特徴を踏まえ、良い行動をするごとにこまめにほめることで、正しい行動だったという自覚を促します。

目標を明確に伝える

暗黙の了解が通用しにくい外国人部下に対しては、業務の目標や期待を言語で明確に伝える必要があります。
目標設定の際は、単なる抽象的な目標(例:「顧客満足度を上げる」)では不十分です。目標の概要(例:次の四半期に顧客満足度を20%向上させる)、目標の詳細、部下に求められる役割、そしてその達成によって得られるメリット(例:長期的な顧客ロイヤルティの構築に貢献する)を包括的に示し、サポート体制についても明言することが不可欠です。

外国人部下のマネジメントで避けるべき行動

外国人部下へのマネジメントにおいて、絶対に避けるべき行動は、不信感を生んだり、早期離職を招いたりするリスクがあります。

主張、反論に対して感情的になる

多くの文化では、オープンな議論や異なる意見の交換は、より良い解決策を見つけるために奨励される行為です。外国人部下が意見を主張するのは、不満ではなく、アイデアを表明するためであることを理解し、感情的にならず、すべての意見が尊重される文化を育むことが大切です。

人前で叱責する

これは外国人部下、特に面子を重んじるアジア系の部下に対しては、侮辱と受け取られ、大きな反発を生むおそれがあります。叱責は、個別に呼び出して冷静に行うことが鉄則です。叱責の際は、「具体的な望ましくない行動」と「その行動がチームにもたらした具体的な不利益」、そして「今後望ましい行動とそのメリット」を順序立てて伝えるようにしましょう。

社外活動への参加を強制する

多くの外国人は仕事と私生活のバランスを重視します。飲み会や社員旅行など、社外活動への参加を強制すると、彼らのプライベートな時間を奪うことになり、組織への忠誠心に悪影響を及ぼしかねません。また、宗教的な制約(例:イスラム教の飲酒禁止)に抵触する場合もあるため、参加は個人の判断に委ねるべきです。

マイクロマネジメントを行なう

細かすぎる管理は、自由度の高い環境を好む外国人部下の自主性や創造性を抑制し、パフォーマンスを低下させる原因となります。上司は目標設定や達成のためのサポート提供に集中すべきです。

部下の報連相を過度に期待する

日本の職場では一般的ですが、報連相を過度に期待することは、部下の自己管理能力を発揮する機会を奪い、不要な緊張を生じさせる可能性があります。定期的に状況を確認し、必要に応じてサポートを提供する姿勢が望ましいでしょう。

まとめ

人口減少が進む日本において、外国人社員の力は不可欠です。日本人と同じ感覚でのマネジメントでは表現が不足しがちであるという認識を持ち、言語の壁や価値観の違いによる問題を未然に防ぐ異文化マネジメントが成功の鍵となります。
具体的には、言葉による明確な表現を徹底し、具体的な指示と目標設定を行うこと、そして、文化的な違いを否定せず多様性を受け入れ、双方が歩み寄る意識を持つことが肝心です。これらのポイントを押さえることで、外国人部下のポテンシャルを最大限に引き出し、企業の発展に貢献できる人材として育成できるでしょう。

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