特定技能の「リネンサプライ」分野は、2026年6月1日から特定技能1号の在留資格の申請ができるようになりました。
2026年1月23日の閣議決定で対象分野に加わり、分野別協議会への加入申請も始まっています。当初「2027年開始」と報じられていましたが、特定技能での受入れはすでに動き出しており、2027年4月1日からは育成就労での受入れも始まります。本記事では、厚生労働省の案内ページとリネンサプライ分野の分野別運用方針をもとに、任せられる業務、受入れ企業の条件、使える受入れルート、協議会への加入手順を整理します。
この記事でわかること
- リネンサプライ分野の追加の経緯と、2026年9月時点の進捗
- 外国人材に任せられる業務と、衛生基準の認定などの受入れ条件
- 技能実習2号の修了者か新規採用かで変わる受入れルート
- 協議会への加入手順と、登録支援機関に代行を頼めない点
- 特定技能1号・育成就労で求められる試験と日本語の水準
特定技能「リネンサプライ」分野とは何か?
リネンサプライ分野は、ホテルや病院などで使われたリネン類の入荷から出荷までの業務に、特定技能1号と育成就労の外国人材を受け入れる分野です。2026年1月23日の閣議決定で特定産業分野と育成就労産業分野の両方に追加され、所管は厚生労働省です。特定技能1号の在留資格の申請は2026年6月1日から受け付けられており、2026年9月時点で特定技能2号の受入れは予定されていません。
追加の背景と受入れ見込数
分野別運用方針によると、リネンサプライ分野の2024年度の有効求人倍率は3.71倍です。訪日外国人旅行者6,000万人という政府目標に伴う宿泊需要を支えるには、2028年度に11万9,800人の就業者が必要になる一方、見込まれる就業者は9万9,700人で、2万100人程度が不足するとされています。
| 区分 | 受入れ見込数 | 対象期間 |
|---|---|---|
| 分野全体 | 7,700人 | 2026〜2028年度の3年間 |
| 特定技能1号 | 4,300人(受入れの上限として運用) | 2026〜2028年度の3年間 |
| 育成就労 | 3,400人(受入れの上限として運用) | 2027〜2028年度の2年間 |
出典:リネンサプライ分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針(令和8年1月23日閣議決定)
2026年9月時点の進捗
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年1月23日 | 分野別運用方針の閣議決定(リネンサプライ分野の追加) |
| 2026年4月7日 | 第1回リネンサプライ分野特定技能協議会の開催、協議会の設置要綱・入会規程の施行 |
| 2026年6月1日 | 運用要領別冊(リネンサプライ分野)の制定、特定技能1号の在留資格の申請受付開始 |
| 2026年7月14日 | 育成就労制度運用要領(リネンサプライ分野)の制定 |
| 2026年7月31日 | 第1回育成就労協議会・第2回特定技能協議会の開催、協議会への加入申請の受付開始 |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度の運用開始 |
出典:厚生労働省「リネンサプライ分野における新たな外国人材の受入れ」(2026年9月時点の記載)
外国人材に任せられる業務はどこまでか?
リネンサプライ分野の業務区分は「リネンサプライ」の1つで、リネン類の入荷から出荷までの一連の業務が対象です。出入国在留管理庁は、入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、結束、出荷を具体的な業務として挙げています。
工場内の一連の工程と関連業務
使用済みのシーツやタオル、病衣などを受け入れて仕分けし、洗濯・乾燥・仕上げを経て、検品・結束して出荷するまでが外国人材の業務範囲です。分野別運用方針は、使用資材の運搬や清掃など、同じ業務に従事する日本人が通常行う関連業務に付随的に従事することも認めています。
客室清掃・ベッドメイクは別分野
ホテル客室でのベッドメイクや清掃は、リネンサプライ分野ではなく、ビルクリーニング分野や宿泊分野の業務です。ホテルと取引するリネンサプライ事業者が外国人材を客室作業に回すことはできないため、配置先は自社工場内の工程に限って計画してください。それぞれの分野の要件は特定技能「ビルクリーニング」の受入れ要件と採用の流れと特定技能「宿泊」の試験構成と受入れ要件で解説しています。育成就労の宿泊分野でも、客室の清掃・整備は主な業務ではなく、付随的に従事できる関連業務の扱いです(育成就労「宿泊」で任せられる業務の範囲)。
受入れ企業に課される条件とは?
リネンサプライ分野で外国人材を受け入れる企業は、業界団体が定めた「衛生基準」の認定を受けた施設で受け入れること、外国人材を直接雇用すること、そして受入れ前に厚生労働省が設置する分野別協議会の構成員になることが求められます。あわせて、協議会や厚生労働省の調査・指導への協力と、外国人材の求めに応じた実務経験証明書の交付も条件です。
衛生基準の認定と直接雇用
分野別運用方針は、特定技能・育成就労のどちらについても、業界団体が定めた「衛生基準」の認定を受けた施設で外国人材を受け入れることを条件としています。雇用形態は直接雇用に限られ、人材派遣による受入れはできません。自社の工場が衛生基準の認定を受けていない場合は、まず認定の取得が受入れの前提になります。
協議会への加入手順
厚生労働省のリネンサプライ分野特定技能協議会のページによると、加入の手順は次のとおりです。
- 協議会の加入要件と入会規程を確認する
- 厚生労働省のページにある「入会申請」から申請し、同時に必要書類をメールで提出する
- 厚生労働省の確認が終わると、構成員資格証明書が電子媒体でメール送付される
加入に費用はかかりません。一方で、登録支援機関による入会手続きの代行は認められておらず、受入れ企業が自ら申請する必要があります。また、支援を委託された登録支援機関は、自らが受入れ機関となる場合を除いて協議会に加入できません。入会後に代表者や住所が変わった場合は、そのつど変更申請が必要です。
いま使える受入れルートはどれか?
リネンサプライ分野の特定技能1号は、リネンサプライ分野特定技能1号評価試験と日本語試験に合格するか、関連する技能実習2号を良好に修了して試験が免除されるかのどちらかで取得できます。評価試験の日程が公表されていない段階では、試験が免除される技能実習2号の良好修了者が、最も早く受け入れられる候補です。
候補者別の受入れルート
出入国在留管理庁の案内をもとに、候補者の経歴ごとに必要な手続きを整理すると次のとおりです。
| 候補者 | 技能試験 | 日本語試験 | 受入れの時期 |
|---|---|---|---|
| 本分野に関連する技能実習2号を良好に修了した人 | 免除 | 免除 | 2026年6月1日から申請可能 |
| 他の職種の技能実習2号を良好に修了した人 | 評価試験の合格が必要 | 免除 | 評価試験の合格後 |
| 海外からの新規採用者・留学生など | 評価試験の合格が必要 | JFT-Basic(A2.2相当以上)またはJLPT N4以上 | 評価試験の合格後 |
| 育成就労で受け入れる人 | 1年目に育成就労評価試験(初級) | 就労開始前にA1相当以上 | 2027年4月1日から |
出典:出入国在留管理庁「リネンサプライ分野」、リネンサプライ分野の分野別運用方針。試験が免除される技能実習の職種は、同ページの運用要領別冊で確認してください。
育成就労の試験と日本語水準
育成就労では、就労開始前にA1相当以上の日本語試験への合格か相当する講習の受講が必要です。1年目までに育成就労評価試験(初級)に合格し、本人の意向で転籍する場合は初級試験とA2.1相当以上の日本語が求められます。転籍制限期間は1年です。修了時には特定技能1号評価試験とA2.2相当以上の日本語が求められ、主たる技能は「リネンサプライ仕上げ作業」と定められています。移行の全体像は育成就労から特定技能への移行条件で整理しています。
受入れにあたって企業は何を準備すべきか?
リネンサプライ分野で外国人材を受け入れる企業は、衛生基準の認定と協議会への加入を済ませたうえで、候補者の経歴に合った受入れルートを選び、支援体制と日本語教育を整えます。技能実習2号の修了者を受け入れる場合は、すでに申請できる段階にあります。
支援体制と費用の見積もり
特定技能1号で受け入れる場合は、1号特定技能外国人支援計画にもとづく支援を自社で行うか、登録支援機関に委託します。2026年10月1日には在留手続の手数料が改定され、在留期間1年の更新は窓口で33,000円になりました。支援計画の中身は1号特定技能外国人支援計画書の書き方と日本語学習支援で、手数料の新旧比較は在留資格更新の手数料値上げ|新料金一覧と企業対策で確認できます。
衛生と安全の多言語教育
リネンサプライの工場では、医療施設から出る感染のおそれのあるリネンの取扱いや、大型の洗濯機・乾燥機・仕上げ機の操作に危険が伴います。衛生手順と機械の安全操作は、写真やイラストを中心にした手順書と母国語の併記で伝え、安全に関わる部分は通訳や母国語話者に確認してもらってください。
日本語教育の早期開始
工場内の指示や衛生手順の理解には日本語が欠かせず、育成就労では転籍時にA2.1相当、修了時にA2.2相当が求められます。入社直後から日本語学習の時間と記録の仕組みを用意しておくことが、定着と特定技能への移行の両方につながります。JFT-Basicの対策はJFT-Basic対策の要は「いろどり」|JLPTとの違いで解説しています。
まとめ:リネンサプライ分野は「すでに申請できる」段階にある
特定技能のリネンサプライ分野は2026年1月に追加が決まり、2026年6月1日から特定技能1号の在留資格の申請ができるようになりました。受入れには衛生基準の認定を受けた施設、直接雇用、受入れ前の協議会加入が必要で、協議会への入会は受入れ企業が自ら申請します。
評価試験の日程が公表されるまでは、関連する技能実習2号を良好に修了した人が最も早く受け入れられる候補です。同じ閣議決定で追加された分野については特定技能「物流倉庫」、特定技能「資源循環」(廃棄物処理)の記事を、特定技能制度の全体像は特定技能のすべてを網羅する完全ロードマップをご覧ください。
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