廃棄物処理業
2027年4月より、特定技能制度の対象分野に「廃棄物処理業」が新たに追加される見通しとなりました。有効求人倍率が3.06倍という全産業でもトップクラスの深刻な人手不足にあえぐ廃棄物処理業界にとって、即戦力となる外国人材を長期的に確保できる歴史的な転換点となります。
特定技能を貴社で導入される場合、どのような手続きが必要となるのか?基本的な知識を蓄積することで、スムーズな雇用につなげることができます。
以下の記事にて、詳細をまとめていますので、併せてご参照くださいませ。
【最新版】特定技能のすべてを網羅する完全ロードマップ|採用から定着・キャリア形成まで
なぜ今、廃棄物処理業が特定技能に追加されるのか?
危機的な労働力不足と静脈産業への社会的要請
廃棄物処理業が特定技能に追加される最大の理由は、国内人材のみでは事業継続が不可能なレベルの人手不足と、SDGsやカーボンニュートラル推進に伴う業務量の増大という「需要と供給の乖離」を埋めるためです。
廃棄物処理業界の有効求人倍率は3.06倍に達しており、これは物流倉庫(1.92倍)などを大きく上回る深刻な水準です。現場は高齢化が進み、若年層からは敬遠されがちな「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージも根強く、新卒採用は困難を極めています。 一方で、循環型社会の構築に向けたリサイクル需要や、災害廃棄物処理への対応など、業界に求められる役割は年々高度化・肥大化しています。社会インフラとしての機能を維持するためには、外国人材という新たな労働力の導入が不可欠と判断されました。
手順:自社のリスク分析フロー 以下の手順で、自社の人員構成と将来リスクを可視化してください。
- 年齢構成の棚卸し: 現場従業員の年齢層をリスト化し、5年後、10年後の定年退職者数を算出する。
- 採用コストの算出: 過去3年間の日本人採用にかかった求人広告費や紹介料を、実際の採用人数で割り、1人あたりの採用単価を出す。
- 機会損失の確認: 人手不足を理由に断った収集運搬案件や、稼働率を落としている中間処理施設の状況を洗い出す。
- 安全管理の現状把握: 外国人材受け入れの障壁となる「暗黙の了解」で行われている作業手順がないか確認する。
単に「人が足りない」という認識だけでなく、数値に基づいた危機感を経営層と共有することが重要です。2027年の開始を待たずに、今から対策を講じなければ、制度開始時の人材獲得競争に敗れる可能性が高いためです。
特定技能「廃棄物処理」で従事可能な業務とは?
選別から焼却施設での作業まで幅広い現場業務が可能
特定技能外国人が従事できる業務は、収集運搬の補助から中間処理、リサイクル工程まで多岐にわたりますが、基本的には「現場作業」が中心となります。
廃棄物処理は、収集・運搬、中間処理(選別・破砕・圧縮)、最終処分という一連のプロセスで成り立っています。特定技能制度では、これらの工程の中で、一定の技能訓練と安全教育を行えば習得可能な業務が対象として想定されています。これまでの技能実習制度では対象外だった業務が含まれることが大きな特徴です。
手順:対象業務の切り分けフロー 自社の業務を以下のリストと照らし合わせ、特定技能人材に任せる範囲を決定してください。
- 収集・運搬関連
- パッカー車(ごみ収集車)への積み込み補助
- 回収容器の交換・洗浄
- 収集ルート上の簡易な清掃・分別確認
- 中間処理・リサイクル関連
- 手選別作業(資源、可燃、不燃、プラスチック等の選別)
- 破砕機、圧縮梱包機への投入・操作補助
- 工場内でのフォークリフト等を用いた搬送(免許取得が必要)
- リサイクルラインでの異物除去
- 焼却・最終処分関連
- 焼却施設での灰の搬出補助
- 施設内の清掃・メンテナンス補助
重要な制限事項として、以下の業務については注意が必要です。
- 運転業務: 公道での収集車の運転には日本の運転免許が必要です。特定技能「自動車運送業」との兼ね合いや、免許取得支援が別途必要になる可能性があります。
- 危険物取扱: 資格が必要な特定の危険物取扱業務は、別途資格取得が必要です。
- 管理業務のみ: 現場作業を行わず、マニフェスト管理や事務のみを行う場合は、特定技能ではなく「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が適切な場合があります。
技能実習制度対象外だった業界の新たな選択肢
廃棄物処理業はこれまで技能実習の対象職種ではなかったため、特定技能の導入は業界にとって初の本格的な「単純労働を含む現場業務」での外国人受け入れルートとなります。
建設や農業とは異なり、廃棄物処理業には「技能実習生からの移行」というルートが存在しません(ビルクリーニング等からの職種転換を除く)。つまり、採用する外国人の多くは、業界未経験の新規入国者か、他分野からの転職者となります。そのため、ゼロからの教育体制構築が必須となります。
手順:教育カリキュラム作成フロー
- 作業の標準化: 日本語がわからなくても理解できるよう、作業手順を動画や写真でマニュアル化する。
- 安全教育の徹底: 巻き込まれ事故や転落事故を防ぐため、母国語併記の安全標識を作成する。
- 衛生管理の指導: 感染症対策や保護具の正しい着用方法を指導するプログラムを作る。
技能実習生を受け入れた経験がない企業が多いため、外国人特有の生活習慣や文化への配慮(祈祷スペースの確保や食事制限への理解など)が不足しがちです。受け入れ前に社内研修を行い、日本人従業員の理解を深めておく必要があります。
2027年の制度開始に向けて企業が準備すべきことは?
安全衛生教育の多言語化と「見てわかる」マニュアル整備
廃棄物処理業は労働災害のリスクが高い職種であるため、外国人材の命を守り、企業のリスクを回避するためには、多言語対応の視聴覚的な安全教育ツールを整備することが絶対条件です。
言葉の壁によるコミュニケーションエラーは、重大な事故に直結します。特にパッカー車の回転板への巻き込まれや、破砕機周辺での作業、有害物質の吸引などは、一瞬の判断ミスが命取りになります。「危ない!」という日本語が通じない状況を想定した対策が必要です。
手順:安全教育整備の具体策 以下のステップで、安全教育の基盤を作ってください。
- 危険予知(KY)活動の翻訳: 現場で想定される危険(挟まれ、転落、腰痛など)をイラスト化し、主要な採用対象国(ベトナム、インドネシア等)の言語で注意書きを入れる。
- 動画マニュアルの作成: 正しい作業手順と、やってはいけない危険な作業を比較する動画をスマートフォンで撮影・編集する。言葉よりも映像の方が伝わりやすいため、字幕は最小限で良い。
- 指差し呼称の徹底: 日本語が苦手でも「ヨシ!」という確認動作は徹底させる。動作を習慣化させることで、ミスの発生率を下げる。
- 緊急時対応のシミュレーション: 火災や地震、事故発生時の避難経路や連絡方法を、実地訓練で教え込む。
受け入れ体制の整備と登録支援機関の選定
特定技能1号の受け入れには、法令で定められた「10項目の義務的支援」の実施が必須です。自社で実施困難な場合は、信頼できる登録支援機関への委託を計画的に進める必要があります。
義務的支援には、入国前のガイダンス、空港送迎、住居確保、生活オリエンテーション、公的手続き同行、日本語学習機会の提供、定期面談などが含まれます。これらを廃棄物処理の現場業務と並行して自社のみで行うのは、特に中小企業にとっては大きな負担です。
手順:支援体制構築のロードマップ
- 2025年内(フェーズ1:情報収集)
- 特定技能制度の理解を深める。
- 採用予定人数の策定と予算化(紹介料、支援委託費、給与等)。
- 2026年前半(フェーズ2:パートナー選定)
- 廃棄物処理業界への理解がある登録支援機関の選定。
- 外国人材向け住居のエリア調査(通勤手段の確保)。
- 2026年後半(フェーズ3:採用活動・試験対策)
- 現地または国内での採用面接。
- 2026年後半から開始予定の「技能評価試験」への受験サポート。
- 2027年1月〜3月(フェーズ4:申請・入国準備)
- 在留資格認定証明書(COE)の交付申請。
- 受け入れ部署への周知と環境整備。
登録支援機関を選ぶ際は、「安さ」だけで選ばないことが重要です。緊急時の対応力(24時間対応か)、対応言語の種類、定期面談の質などを重視し、廃棄物処理という特殊な現場を理解してくれるパートナーを選んでください。
採用コストと将来のリスク管理はどうする?
2026年度以降の在留手数料大幅値上げへの備え
2026年度から2027年度にかけて、在留資格の更新や変更にかかる手数料が数倍から十数倍に引き上げられる見込みであり、これを採用コストの一部として予算化しておく必要があります。
政府は「受益者負担」の観点から、在留資格の手数料を欧米並みに引き上げる検討を進めています。報道ベースでは、在留期間更新が現在の6,000円から3〜4万円程度、永住許可申請が10万円以上になると予測されています。特定技能1号は1年ごとの更新になるケースもあり、ランニングコストへの影響は無視できません。
手順:コスト対策フロー
- コスト試算: 採用人数 × 更新頻度 × 4万円 で、将来的な手数料コストを試算する。
- 負担ルールの策定: 更新手数料を「会社負担」とするか「本人負担」とするかを決定し、雇用契約書に明記する。会社負担は採用競争力を高める「福利厚生」となります。
- 長期在留の確保: 更新回数を減らすため、最初から長期(1年など)の在留期間が許可されるよう、優良な受入れ機関(カテゴリー1・2)を目指す、または認定を受ける準備をする。
高額な手数料を本人負担にした場合、実質的な手取り減少となり、離職や他社への転職を招く大きな要因となります。特に初期費用がかさむ外国人材にとって、数万円の出費は死活問題です。
離職を防ぎ定着させるためのマネジメント
「給料が良い」だけでは外国人材は定着しません。「相談できる相手がいる」「キャリアが見える」環境を作ることが、離職率45%の壁を越える鍵となります。
外国人労働者が離職する主な理由は、人間関係のトラブル、将来への不安、そしてサポート不足による孤立です。廃棄物処理の現場は閉鎖的になりがちで、コミュニケーション不足が起きやすい環境です。
手順:定着支援の具体策
- メンター制度の導入: 日本人社員を「相談役」として任命し、業務以外の悩みも聞ける体制を作る。
- キャリアパスの提示: 特定技能1号(5年)の後のビジョン(特定技能2号への移行の可能性や、特定活動など)を明確に説明する。
- 定期的な面談の実施: 3ヶ月に1回の法的義務である面談を形骸化させず、本音を聞き出す場として活用する。
- 一時帰国休暇の付与: 母国の家族に会うための長期休暇を取りやすい制度にする。
特定技能2号の対象分野拡大に伴い、将来的には廃棄物処理分野も2号(家族帯同可、在留期限なし)の対象となる可能性があります。長期的なキャリアパスを示せる企業は、人材獲得において圧倒的に有利になります。
まとめ
2027年4月の特定技能「廃棄物処理」導入は、業界の人手不足解消に向けた切り札です。しかし、制度開始と同時に恩恵を受けられるのは、今から戦略的に準備を進めた企業だけです。
成功のための3つの鍵
- 安全教育の徹底的な言語バリアフリー化: 事故を防ぐことが、定着と信頼の第一歩です。
- 2026年を見据えたパートナー選び: 信頼できる登録支援機関を見つけ、二人三脚で準備を進めること。
- コスト増とキャリアパスへの視点: 手数料値上げを織り込み、単なる労働力ではなく「将来の中核人材」として育成する視点を持つこと。
廃棄物処理という社会インフラを支える誇りある仕事を、外国人材と共に担っていく。そのための準備を、今日から始めましょう。
貴社の課題、一緒に解決しませんか?
IPPO TALK紹介
他の日本語サービスとの比較もこちらで実施しています。
【IPPO TALKが選ばれる理由】
- プロ講師によるオンライン1on1日本語レッスン
- AI搭載 e-learningアプリによる自習+復習の支援(使い放題)
- 学習者のメンタルサポート/離職リスクの早期発見
- スケジュール管理・督促・出欠・レポート提出など、日本語教育に関して全て当社に丸投げOK
- 学習レポートを企業・紹介元へ提出(支援記録に活用可)
⏩サービス資料はこちら
⏩サービスサイトはこちら
IPPO TALK
IPPO CULTURE紹介
外国籍社員の”辞めたくなるサイン”を見逃さないために、IPPO CULTUREというソリューションも提供しています。
【IPPO CULTUREが選ばれる理由】
- 多言語・二方向サーベイ
外国籍社員と日本人社員の両方に対応した多言語サーベイシステム。双方向の意見収集により、互いの理解度と期待値のギャップを可視化。 - アクション支援
面談提案、教材配信、振り返りチェックなど、リスクに対応する具体的なアクションをガイド。管理者の負担を軽減しながら効果的な対応を実現。 - リスク検知・自動アラート
AIが回答内容から離職リスクや孤立リスクを検知し、管理者に自動アラートを送信。早期対応を可能にし、問題が深刻化する前に介入可能。 - レポート出力
PDF形式の詳細レポートとリアルタイム更新のダッシュボードを提供。経営層向けの全体傾向から現場マネージャー向けの個別対応まで、必要な情報を適切な形式で出力。
⏩サービスサイトはこちら
IPPO CULTURE
サービスへのお問い合わせ
私たちは、日本語教育にかかる企業の負担削減、効率化、そして結果の可視化をさらに改善していきたいと考えています。実際に現場で企業内の外国人労働者への日本語教育に携わる方やご担当者様と、ぜひお話しさせていただければ幸いです。
もしご興味がありましたら、一度お話ししませんか?
こちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。貴社が抱えていらっしゃる課題や体制に合わせて、最適な導入方法をご案内いたします。

