2026年3月9日からの「誓約書」提出義務化とは?
在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人材を派遣などの形態で現場の単純労働に従事させることは明確な違法行為であり、2026年3月9日からの「誓約書」提出義務化により、企業側のコンプライアンス違反に対する摘発リスクはかつてないほど高まっています。適法に人材を確保するためには、現場業務が主目的である「特定技能」との違いを正確に理解し、2026年に控える行政書士法改正や在留手数料の大幅値上げを見据えた、自社の管理体制の抜本的な見直しが不可欠です。
本記事における「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」とは、大学等で修得した専門的・学術的な知識を必要とする業務に従事するための就労ビザを指します。一方「特定技能」とは、深刻な人手不足を解消するため、一定の技能と日本語能力を持つ即戦力人材を幅広い現場業務で受け入れるための制度です。
なぜ今、技人国ビザの「派遣」に行政の厳しいメスが入ったのか?
派遣元と派遣先への「誓約書」提出が義務化されるため
技人国ビザの外国人を派遣労働者として受け入れる際、3月9日より、派遣元および派遣先の事業者に対して、従事させる業務内容が適法であることを確約する「誓約書」の提出が義務化されます。これに違反し、虚偽の申告で単純労働に従事させていたことが発覚した場合、在留資格の取り消しなど極めて厳しい処分が下されることになります。
この制度変更が急遽実施される理由は、本来ホワイトカラーの専門的業務しか認められていない技人国ビザの外国人を、派遣先の工場や店舗などで許可されていない「単純労働(現場労働)」に違法に従事させるケースが社会問題化しているためです。一部の悪質な派遣事業者が、受け入れ企業に対して「資格外活動でも可能である」と偽った説明を行い、グレーゾーンを悪用して人材を供給する実態が横行していました。行政はこれまでの「書類の体裁さえ整っていれば許可が下りてしまう」という審査プロセスの限界を重く見ており、今回の誓約書義務化は、派遣先企業に対しても直接的な法的責任を問うための強力な牽制(核爆弾的な抑止力)となります。
現在、外国人の派遣労働者を受け入れている企業は、直ちに以下の手順で契約内容の総点検を実施してください。
- 現在受け入れている派遣社員全員の在留カードのコピー(表面・裏面)を回収し、在留資格の種類が「技術・人文知識・国際業務」になっていないかを確認する。
- もし技人国ビザであった場合、現在その人材に任せている一日の業務スケジュールを分単位で書き出す。
- その業務が、製造ラインの反復作業や、飲食店の接客・配膳、清掃といった「学歴のない日本人でもすぐに慣れる単純労働」に該当する場合、直ちに派遣元企業へ事実関係を照会する。
- 違法な就労実態が確認された場合、ただちにその派遣契約を打ち切り、現場の労働力が必要であれば、「特定技能」や「育成就労(旧・技能実習)」など、現場労働が合法的に認められている制度を活用した直接雇用・または適法な派遣(農業・漁業分野など限定的)への切り替え計画を立案する。
ここで絶対に避けるべき注意点は、「派遣会社が大丈夫だと言っているから」と見て見ぬふりをすることです。誓約書が導入された以上、受け入れ企業側が「知らなかった」という言い訳は通用しません。不法就労助長罪に問われれば、企業名の公表や今後の外国人雇用の全面停止など、事業存続に関わる致命的なダメージを受けます。
「技術・人文知識・国際業務」と「特定技能」の決定的な違いとは?
学術的背景を要する専門業務か、現場の即戦力としての業務かの違い
企業が外国人材を採用する際、技人国ビザと特定技能ビザを混同して業務を割り当てると、重大なコンプライアンス違反を引き起こします。両者の決定的な違いは、「学術的素養を背景とする高度な業務か」、それとも「人手不足を補うための現場の即戦力業務か」という点にあります。
この違いが生じる理由は、それぞれの制度が創設された目的が根底から異なるからです。技人国は、大学等で学んだ理学、工学、人文科学などの専門知識や、外国特有の文化に基づく思考を日本の産業界に活かす「高度人材」を受け入れるための制度です。したがって、求人票に「未経験可、すぐに慣れます」と書かれるような、反復訓練で習得可能な現業的業務は対象外となります。一方で特定技能は、建設、介護、外食、物流倉庫(2027年追加予定)など、国内での人材確保が困難な16の特定産業分野において、日本人の現場労働者と同様に、付随的な単純労働を含む幅広い業務に従事させることを明確な目的として設計されています。
自社の業務に適合する正しい在留資格を選択するためには、以下の手順で職務の切り分けを行ってください。
- 採用予定ポジションの「職務記述書(ジョブディスクリプション)」を作成し、メインとなる業務内容を明確にする。
- その業務が、CADを用いた機械設計、海外市場向けのマーケティング、通訳・翻訳といった大卒レベルの専門知識を直接的に必要とするものであれば、「技人国」での申請を検討する。
- 一方で、ホテルの客室清掃やレストランでの配膳、建設現場での施工、工場での部品組み立てといった現場作業がメインである場合は、該当する分野の「特定技能」試験に合格した人材を採用する。
- 技人国で採用する場合、本人の大学等での「専攻科目」と「担当業務」の間に明確な関連性があることを、成績証明書などを用いて論理的に証明する資料を準備する。
技人国ビザを採用する際によくある落とし穴が「実務研修」の扱いです。将来の幹部候補として、入社直後に現場のオペレーション(コンビニのレジ打ちや工場のライン作業など)を経験させること自体は例外的に許容されます。しかし、それはあくまで「将来の専門業務を行う上で必ず必要」であり、「日本人大卒新入社員と全く同じ研修カリキュラム」に沿っていることが条件です。明確なキャリアステッププランがなく、在留期間の大部分を現場作業に費やすような運用は、実質的な単純労働の隠れ蓑とみなされ、更新時に不許可となるリスクが極めて高いことに注意してください。
2026年以降の法改正とコスト増リスクに企業はどう備えるべきか?
書類作成の適法化と在留手数料大幅値上げを見据えた体制構築が必要なため
2026年以降、外国人雇用の実務環境は「行政書士法の改正」と「在留手数料の大幅な値上げ」という2つの大きな波によって激変します。企業は従来の「外部への丸投げ体質」から脱却し、コストとコンプライアンスを両立させる新たな管理体制を構築しなければなりません。
まず、2026年1月1日に施行される改正行政書士法により、行政書士の資格を持たない登録支援機関やコンサルティング会社が、報酬を得て特定技能などの申請書類を作成することが「いかなる名目によるかを問わず」完全に違法化されます。これまで業界で横行していた「支援委託費の中に申請サポート料を含める」といったグレーゾーンのパッケージ契約は厳格に禁止され、違反した場合は法人自体にも最大100万円の罰金が科される両罰規定が適用されます。
さらに、2026年度中(2027年度目途)には、在留資格の更新手数料が現在の6,000円から「3万〜4万円前後」へ、永住許可申請が1万円から「10万円以上」へと、欧米並みの水準へ大幅に引き上げられる政府方針が固まっています。特定技能1号のように頻繁な更新が必要な資格では、企業や外国人本人の家計に与える経済的インパクトは甚大です。
これらの激変するリスクに対し、企業が取るべき防衛策と手順は以下の通りです。
- 既存契約のコンプライアンス監査を実施する: 現在契約している登録支援機関の請求書や契約書を精査し、「書類作成支援」「申請代行」といった項目が含まれていないか確認する。もし含まれている場合は直ちに契約を分離し、書類作成業務は行政書士と直接契約を結ぶフローに変更する。
- クラウドシステムを活用した支援業務の内製化: 書類作成の外部委託費を削減し、かつ適法性を担保するため、「noborder(ノーボーダー)」「Linkus(リンクス)」「SMILEVISA(スマイルビザ)」といった特定技能に特化した管理プラットフォームの導入を検討する。これらのシステムは、情報を一元管理し適法なフォーマットで書類を自動生成できるため、社内の人事担当者(法務省の承認を受けた申請取次者)が自社で安全に申請を行うことを可能にします。
- 手数料値上げを前提としたコストシミュレーションと人事制度の改定: 手数料が4万円に上がった場合、自社で抱える外国人材の人数×更新頻度で年間コストを算出し、これを「本人負担」とするか「会社負担(福利厚生)」とするかの社内ルールを明文化する。
- 長期在留(5年ビザ)獲得に向けた企業価値の向上: 更新回数そのものを減らすため、労働基準法の遵守や社会保険の適正加入を徹底する。さらに、「えるぼし認定」や「くるみん認定」などを取得して入管の審査における「カテゴリー1・2(優良企業)」を目指し、一度の申請で長期の在留期間が許可されやすい環境を整える。
ここで注意すべきは、登録支援機関の担当者が「うちは提携している行政書士がいるから、うちの請求書にまとめておきます」と提案してきた場合、これに絶対に応じないことです。資金の流れが支援機関を経由した時点で違法な報酬の授受とみなされるリスクがあるため、「行政書士との直接契約・直接支払い」の原則を必ず貫いてください。
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