JESTAとは何か?
入国の「前提条件」そのものが変わります
Japan Electronic System for Travel Authorizationの頭文字をとったJESTAは、短期滞在ビザが免除されている71の国・地域からの渡航者が対象とされています。観光、ビジネス、会議出席、短期出張などを目的とした入国がこれに該当します。
申請時には、氏名・パスポート番号・滞在目的・宿泊先などの情報が求められ、政府による事前審査を経て「認証」が与えられます。審査に問題があると判断された場合は認証が下りず、航空機への搭乗もできない仕組みが想定されています。
このように、JESTAは出入国審査を事前化・電子化することで、水際対策の強化と入国管理の効率化を両立させることを目的とした制度構想です。
現行の「Visit Japan Web」と混同されることが多いですが、両者はまったく異なる性質を持っています。Visit Japan Webは任意登録の利便化ツールに過ぎませんが、JESTAは入国可否を事前に決定する審査制度であり、原則として必須となります。米国のESTA、カナダのeTA、韓国のK-ETAと同様のモデルに倣っており、国際的な観点からは標準的な仕組みの導入といえます。
現行制度との違いを整理する
| 比較項目 | Visit Japan Web | JESTA |
|---|---|---|
| 登録の必要性 | 任意 | 原則必須 |
| 制度の目的 | 手続き利便化 | 入国可否の事前審査 |
| 搭乗への影響 | 影響なし | 認証なしで搭乗制限 |
| 施行時期 | 導入済み | 2028年度中(予定) |
「今まで通りでよい」という認識で運用を続けると、採用した外国人材が出発空港の搭乗ゲートで足止めされるという事態が現実に起こりえます。現行の受入フローを今から見直すべき理由はここにあります。
なぜ、このタイミングで導入されるのか?
三つの政策課題が重なった結果です
JESTAの導入が加速している背景には、日本政府が同時に解決しようとしている三つの課題があります。
不法滞在問題への対処
現在、国内には約7万5千人の不法滞在者がいるとされており、そのうち約6割がビザ免除国出身とされています。政府が掲げる「不法滞在者ゼロプラン」を実現するためには、入国前に渡航者のバックグラウンドを確認できる仕組みが不可欠と判断されました。
訪日外国人増加に伴う入国審査の効率化
2030年に年間6,000万人の訪日外国人という目標を掲げる日本にとって、空港の入国審査キャパシティは深刻な課題です。事前審査によって問題なしと確認された渡航者のゲート通過を迅速化することで、現場の処理能力を大幅に向上させることができます。
安全保障・テロ対策の強化
水際対策の観点から、渡航者情報を入国前に把握しておくことは国際的な標準となりつつあります。日本もこの流れに対応する形で制度整備を進めています。
外国人材の採用場面で影響するのはどこか
特定技能・技術・人文知識・国際業務などのビザを保有する外国人材(技人国ビザと特定技能の違いはこちら)は、JESTAの直接対象ではありません。JESTAはあくまでビザ免除での短期滞在者向けの制度です。ただし、以下のケースでは間接的な影響が生じます。
- ビザ免除国出身の求職者が、面接のために短期来日する場合
- 採用内定後、就労ビザ発行前に短期で来日する場合
- 家族帯同や短期訪問をサポートする業務が発生する場合
- 商用目的(研修・視察など)でビザ免除を利用した来日が伴う場合
これらの場面を担当する企業・登録支援機関にとって、JESTAは「自分たちの実務フローに直接関わる話」として捉えていただく必要があります。
申請の流れは、具体的にどうなるのか?
渡航者が行う手続きの概要
JESTA導入後、ビザ免除国の渡航者は渡航前にオンラインで以下の情報を申請します。
- 氏名・パスポート番号・生年月日
- 渡航目的・滞在予定地
- 職業・連絡先情報
申請後に認証が付与されれば、入国審査が簡素化されます。逆に認証が下りない場合、航空会社・船会社は当該渡航者の搭乗を拒否する法的義務を負います。搭乗ゲートで来日できないという事態が、企業の採用フローの中で現実のリスクとなりうる点を把握しておく必要があります。
今から受入フローに組み込むべきことはこれです
申請の有効期間・手数料・具体的な申請窓口といった詳細は現時点で未確定ですが、受入フローへの影響は今の段階でも明確に見えています。
来日前の確認プロセスへの組み込み
採用候補者や内定者が来日する際、「JESTA申請が完了しているか」を確認するステップを受入フローに加えることが必要になります。当日空港で初めて問題が発覚するという事態を防ぐため、来日数日前にチェックできる体制を今から設計しておくことが重要です。
関係者への情報共有の仕組み
採用担当・入国管理担当だけでなく、外国人材本人および送り出し機関への事前案内も重要になります。制度の詳細が確定した時点で、速やかに案内できる体制を整えておくことが求められます。
制度詳細確定後に動くのでは遅い
2028年度の運用開始まで時間があるように見えますが、フロー設計・マニュアル整備・関係者への周知には一定の準備期間が必要です。詳細確定を待って一から動き出す組織と、今から骨格を整えておく組織とでは、運用開始時の対応品質に明確な差が出ます。
在留手数料の改定が、なぜ今すぐ問題なのか?
約40年ぶりの引き上げ幅は想定を超える水準です
JESTAと同じ入管法改正案に盛り込まれたもう一つの重要な変更が、在留手数料の大幅な上限引き上げです。詳細なスケジュールと対策については在留資格更新手数料の値上げはいつから?永住権10万円の詳細と企業の対策もあわせてご確認ください。
| 在留手続きの種類 | 現行の上限 | 改正後の上限 |
|---|---|---|
| 在留資格変更・更新申請 | 1万円 | 10万円 |
| 永住許可申請 | 1万円 | 30万円 |
施行予定は2027年3月31日まで。約40年ぶりの改定であり、実際の金額は今後の政令で確定しますが、上限が現行の10倍・30倍に設定されているという事実は、企業の在留管理コストを根本から見直させる水準です。
外国人材を雇用する企業の多くが、在留更新費用を「さほど大きくないコスト」として予算計画に反映してきた背景がありますが、今後はその前提が通用しなくなる可能性があります。
企業・登録支援機関が今すぐ対応すべきことはこれです
在留管理コストの再試算
複数の外国人材を雇用している企業は、年間の在留更新費用を現行水準で見込んでいると、予算計画が大幅にずれる可能性があります。改定後の金額が確定する前から、費用増加を織り込んだシミュレーションを行っておくことが賢明です。
永住申請希望者への早期案内
永住許可申請の上限が30万円に引き上げられた場合、申請コストの増加は外国人材本人に直接影響します。登録支援機関のスタッフは、永住申請を検討している支援対象者に対し、今の段階で情報を提供し、施行前に申請を完了できるかどうかを個別に確認することを推奨します。
いつまでに、何を整備すべきか?
直近のスケジュールを把握する
| 項目 | 時期 |
|---|---|
| 入管法改正案閣議決定 | 2026年3月10日 |
| 国会での審議・成立(予定) | 2026年内 |
| 在留手数料改定の施行 | 2027年3月31日まで |
| JESTA運用開始目標 | 2028年度中 |
制度の詳細が出てから対応するという姿勢では、実際の運用開始時に現場が混乱します。今から受入体制の設計を始め、制度詳細が確定した段階で即座に組み込める準備を整えておくことが、実務担当者として取るべき行動です。
登録支援機関として今から着手できることはこれです
情報更新の仕組みを構築する
制度の詳細は今後の政令・省令によって順次確定します。出入国在留管理庁の公式発表を定期的にモニタリングし、支援対象者へタイムリーに届ける情報更新のルーティンを構築してください。
来日前支援フローへのJESTA確認ステップを設計する
2028年度の運用開始を見越して、特定技能外国人の受入フローにJESTA申請確認の手順を今から設計しておくことが重要です。実際の申請が始まった段階でフローに沿った対応が自然にできる状態を今から目指してください。
支援対象者への永住申請タイミングのアドバイスを行う
在留手数料の施行が2027年3月31日までとなっている以上、永住申請を考えている外国人材にとって「いつ申請するか」は費用面で大きな違いが出る可能性があります。個別の状況を踏まえた上で、早期申請の検討を促すことが支援機関としての重要な役割です。
制度変更の本質と、担当者が持つべき視点
JESTAの導入と在留手数料の改定は、「外国人材を受け入れる日本」という大きな政策転換の一部です。不法滞在ゼロを目指しながら訪日外国人6,000万人を達成するという目標を両立させるため、日本政府は入国管理の仕組みを根底から再設計しつつあります。
特定技能外国人の受入を巡る国際的な競争環境も踏まえると、日本が制度整備を強化しながらも外国人材にとって選ばれる国であり続けるためには、受け入れる企業・支援機関側の対応力が問われる時代に入っています。
企業の採用担当者・登録支援機関のスタッフとして必要なのは、制度の変更を「後から対処するもの」ではなく、「先読みして受入体制に織り込むもの」として捉える視点です。詳細が確定してから動く組織と、今から設計を始める組織とでは、現場の対応力に大きな差が生まれます。
制度の詳細は今後の政令・省令で確定します。最新情報は出入国在留管理庁の公式サイトで随時確認してください。
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