身分系ビザに就労制限はある?企業担当者が必ず知るべき雇用ルールと2026年厳罰化

身分系ビザに就労制限はある?企業担当者が必ず知るべき雇用ルールと2026年厳罰化 外国人材 定着支援
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身分系ビザ(永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に業種・職種の就労制限はありません。日本人と同等に、製造・飲食・介護・IT・接客など、あらゆる職種・勤務形態で働くことができます。

一方、2026年6月14日施行の改正入管法により、不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。「在留カードを確認していなかった」では通用しなくなる時代に入っており、身分系ビザを正しく理解したうえで雇用管理を適正に行うことが、企業にとってこれまで以上に重要になっています。

この記事では、身分系ビザの就労制限の有無を法的根拠から解説し、企業が守るべき雇用ルール・確認フロー・違反時のペナルティを詳しく説明します。


この記事でわかること

  • 身分系ビザに就労制限がない法的根拠(入管法別表第二)
  • 就労系ビザ(技人国・特定技能・技能実習)との就労制限の違い
  • 身分系ビザでも企業が守るべき4つの雇用ルール
  • 不法就労にならないための実務的な確認フロー
  • 2026年6月施行の厳罰化で何が変わるか

身分系ビザに就労制限はあるのか?法的根拠から解説

入管法上の位置づけ──「身分または地位に基づく在留資格」

身分系ビザとは、入管法(出入国管理及び難民認定法)別表第二に規定された「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4種類をまとめた呼び方です。

入管法では、在留資格を「就労できる業務が定められているもの(別表第一)」と「身分または地位に基づくもの(別表第二)」に大別しています。別表第二に属する身分系ビザは、活動の制限が法令で規定されていないため、どの業種・職種でも就労が認められます。

これは入管法第19条(活動の制限)に基づきます。別表第一の在留資格には法務省令で定める活動の範囲が適用されますが、別表第二の在留資格者はこの制限の適用外となっています。

就労制限なし──どこまで自由に働けるか

身分系ビザ保持者が就労できる範囲は以下のとおりです。

就労の種類 可否
正社員・フルタイム勤務 ✅ 可
パートタイム・アルバイト ✅ 可
副業・掛け持ち ✅ 可
単純労働(工場・清掃・飲食等) ✅ 可
専門職(IT・医療・法律等) ✅ 可(資格が別途必要な職種を除く)
深夜・早朝勤務 ✅ 可
派遣・業務委託 ✅ 可

制限が生じるのは、在留資格ではなく個別の法令による資格要件がある職種(医師・弁護士・教員免許など)に限られます。これらは日本人にも同様に課される要件であり、在留資格固有の制限ではありません。


就労系ビザとの制限の違いはどのくらいあるか?

身分系ビザと就労系ビザの制限を比較すると、その差の大きさが分かります。

技術・人文知識・国際業務ビザ──大卒相当の専門業務に限定

技人国ビザで就労できるのは、理学・工学・IT・法律・経済・外国語など学術上の素養が必要な業務に限られます(入管法別表第一の二)。事務・翻訳・通訳・プログラミング・デザインなどが代表的です。

同じ会社内でも、製造ラインへの配置転換・清掃・接客補助などは原則として不可です。2026年4月の指針改定により、名目上の専門職として在留資格を取得しながら実態は単純労働という「名義借り」のケースが厳しく審査されるようになり、企業側のコンプライアンスリスクが高まっています。

特定技能ビザ──16分野・業種特化型の制限

特定技能(1号・2号)は、法務省令で定める16の特定産業分野(介護・建設・農業・飲食料品製造・外食業など)に限って就労が認められます。分野をまたいだ業務や、指定外の職種への配置は許容されません。

例えば、特定技能「農業」の在留資格を持つ外国人を工場の製造ラインへ配置することは認められず、在留資格の変更申請が必要になります。企業の事業転換や繁忙期対応でのセクション移動が難しい点が、制度上の制約といえます。

技能実習・育成就労──実習計画・育成計画外は一切不可

技能実習(2027年廃止予定)および移行先の育成就労は、実習計画・育成計画に記載された業務のみ許容されます。計画外の業務への従事は在留資格の範囲外とみなされ、直ちに不法就労となります。

これらに対して身分系ビザは制限がないため、採用・配置転換の自由度が圧倒的に高いことが分かります。


身分系ビザでも企業が守るべき4つの雇用ルールとは?

就労制限がないからといって、企業に何の義務もないわけではありません。以下の4点は必ず遵守してください。

ルール①:在留カードの原本確認義務

外国人を雇用する際、企業には在留カードの原本確認義務があります(雇用対策法第28条)。コピーや画像では偽造の見抜けないリスクがあり、法律上の「確認」とは認められません。

確認する項目は3点です。

  1. 在留資格の種別:「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のいずれかであるか
  2. 在留期間の満了日:有効期限が切れていないか(永住者は「無期限」)
  3. 就労制限の有無:「就労制限なし」と記載されているか

在留カードのICチップをスマートフォンで読み取ることができる「在留カード等読取アプリ」(出入国在留管理庁提供)を活用すると、真偽確認の精度が上がります。

ルール②:在留期間の定期管理

永住者以外の身分系ビザ保持者(定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)には在留期限があります。更新を怠ると在留期限超過(オーバーステイ)になり、当該外国人の在留資格が取り消されます。

その状態で雇用を継続すると、企業も不法就労助長罪の対象となります。社内での在留カード期限管理台帳の整備、または更新時期が近づいた際の本人通知フローを構築することを推奨します。

ルール③:雇用保険・社会保険・労災保険の適用

身分系ビザ保持者を含む外国人労働者にも、日本人と同等に労働関係法令が適用されます。

  • 労働保険(雇用保険・労災保険):週の所定労働時間・雇用見込み期間に応じて、日本人と同様の基準で加入義務が発生します
  • 社会保険(健康保険・厚生年金):常時使用される従業員は国籍を問わず加入対象です
  • 最低賃金:国籍・在留資格にかかわらず適用されます

外国人だからといって社会保険を省略した場合、行政指導・追徴金のリスクを負います。

ルール④:在留資格の変更リスクへの対応(離婚・死別等)

「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」は、日本人や永住者との婚姻関係を根拠とする在留資格です。離婚・死別によって身分関係がなくなった場合、在留資格の更新が不許可となるリスクがあります。

採用後にこの変化が生じた場合、本人が別の在留資格(定住者・特定技能・技人国など)への変更を検討する必要が生じます。雇用継続を前提とする場合は、本人に在留資格の状況を確認し、変更手続きが必要かどうかを早めに案内することが重要です。


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不法就労にならないための確認フローとは?

採用時に以下のフローを実施することで、不法就労リスクを最小化できます。

採用前(内定後)

  1. 在留カード原本を持参・提示してもらう
  2. 在留資格の種別・在留期間・就労制限の有無を目視で確認
  3. 「特定活動」と記載されている場合は、別紙の指定書も確認(業務範囲の制限がある可能性)
  4. 在留カードのコピーを人事ファイルに保管

入社後・継続管理

  1. 在留カード有効期限を社内台帳(または人事システム)に登録
  2. 有効期限の3ヵ月前に本人へ更新手続きの案内
  3. 更新後は新しい在留カードのコピーを取得・差し替え
  4. 離婚・死別など身分関係の変化が生じた場合は速やかに確認

判断に迷う場合

就労資格証明書(任意取得・出入国在留管理局で発行)を活用するか、行政書士または出入国在留管理局のサポートダイヤル(0570-013904)に問い合わせることで、就労可否を公的に確認できます。


違反した場合の企業ペナルティは?2026年6月の厳罰化で何が変わるか

不法就労助長罪の内容

外国人を不法就労させた企業は「不法就労助長罪」(入管法第73条の2)に問われます。この罪は故意だけでなく過失も対象となり、「在留カードを確認しなかった」「知らなかった」という主張は通用しません。

2026年6月14日施行の改正入管法により、罰則が以下のとおり厳格化されました。

項目 改正前 改正後(2026年6月14日〜)
拘禁刑の上限 3年以下 5年以下
罰金の上限 300万円以下 500万円以下
併科

刑事罰以外のリスク

刑事罰に加えて、企業は以下のリスクも負います。

  • 行政処分:特定技能受入機関の認定取消、登録支援機関の登録取消
  • 雇用停止:一定期間、外国人の雇用が制限される可能性
  • 社会的信用の毀損:刑事事件として報道された場合の取引先・採用への影響
  • 民事責任:当該外国人から損害賠償請求を受けるリスク

不法就労助長罪は法人にも適用(両罰規定)されるため、経営者個人だけでなく会社組織も処罰対象となります。


よくある質問

Q1. 身分系ビザ保持者が「週何時間まで」という制限はありますか?

いいえ。就労系ビザの資格外活動許可(週28時間制限)とは異なり、身分系ビザには労働時間の制限がありません。法定労働時間(1日8時間・週40時間)の上限は日本人と同じく労働基準法に基づくものであり、在留資格固有の制限ではありません。

Q2. 身分系ビザ保持者を夜間・深夜に働かせることはできますか?

はい。勤務時間帯の制限もありません。深夜・早朝・夜間シフトも日本人と同様の条件で就労可能です。

Q3. 在留カードに「就労制限なし」と書かれていても確認は必要ですか?

はい、確認は必須です。「就労制限なし」の記載があっても、在留期間が切れている場合はオーバーステイとなり、雇用継続は不法就労助長罪の対象になります。在留資格の種別と有効期限の両方を毎回確認してください。

Q4. 在留カードの確認をしなかった場合、どんな罰則がありますか?

雇用対策法上の届出義務違反(30万円以下の罰金)に加え、実際に不法就労者を雇用していた場合は不法就労助長罪(2026年6月14日以降:5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金)が適用される可能性があります。

Q5. 定住者が別の企業に転職する際、手続きは必要ですか?

在留資格の変更申請は不要です。定住者の在留資格はそのまま維持されます。転職先の企業は採用時に在留カードを確認し、外国人雇用状況の届出(ハローワーク)を行えばよく、特別な申請は不要です。


まとめ

身分系ビザ(永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等)に業種・職種の就労制限はなく、日本人と同等の就労の自由が認められています。就労系ビザ(技人国・特定技能・技能実習)と比較して採用・配置転換の自由度が圧倒的に高く、企業にとって活用しやすい人材層です。

ただし、就労制限がないからといって雇用管理が不要なわけではありません。在留カードの原本確認・在留期間の管理・社会保険の適用・在留資格変更リスクへの対応、という4つのルールを徹底することが、企業の法令遵守と外国人材の安定的な活用につながります。

2026年6月14日施行の改正入管法により、不法就労助長罪の罰則が「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」へ強化されました。在留カードの確認を怠った過失も対象となるため、今こそ社内の確認フローを整備するタイミングです。

身分系ビザ全体の基礎知識については身分系ビザとは?企業が知っておくべき4種類の在留資格と雇用ルールもあわせてご覧ください。

技人国ビザとの制度比較は技人国ビザと特定技能の違い|企業のコンプライアンスリスクを徹底解説、在留資格更新にかかるコスト情報は在留資格更新手数料の値上げ|企業が知るべきコスト変化をご参照ください。


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