【特定技能制度】外国人材雇用で企業が知るべき基本とメリット・デメリット

【特定技能制度】外国人材雇用で企業が知るべき基本とメリット・デメリット 特定技能
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導入 – 日本企業が直面する人手不足の現実

日本社会は、少子高齢化と労働人口の減少という大きな課題に直面しています。総務省統計局の労働力調査(2023年)によれば、15歳〜64歳の生産年齢人口は1995年をピークに減少を続け、今後も急速な縮小が予測されaています。特に地方における人口流出は深刻で、若年層の減少が中小企業や介護・農業などの労働集約型産業に大きな影響を及ぼしています。

厚生労働省の調査では、介護分野だけでも2025年には約32万人の人材が不足すると推計されています。また、建設業では団塊世代の大量退職により、技能労働者の確保が急務とされています。外食や宿泊業は新型コロナウイルス流行による一時的な縮小を経た後、インバウンド需要の回復に伴い、再び人手不足が表面化しています。

こうした背景の中で、政府は2019年4月に「特定技能制度」を創設し、外国人材を「即戦力」として受け入れる道を開きました。同制度の完全ロードマップ|採用から定着・キャリア形成に関しては、以下の記事をご確認ください。

【最新版】特定技能のすべてを網羅する完全ロードマップ|採用から定着・キャリア形成まで


特定技能制度の基本 – 制度の仕組みと対象分野

特定技能制度は、「人手不足が特に深刻な分野」 において、一定の専門性・技能を有する外国人が日本で働くことを可能にする制度です。

制度創設の背景

従来の技能実習制度は「人材育成」を名目としており、実習期間が最長5年に限定されていました。また、受け入れ先企業にとっては「即戦力」として活用するには限界があり、定着率も課題となっていました。
これに対し、特定技能制度は 「即戦力の外国人労働者」 の受け入れを目的としており、人手不足分野の企業にとってより実効的な制度となっています。

対象となる14分野

特定技能制度の対象は、以下の14分野です。

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連産業
  • 建設業
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備業
  • 航空業
  • 宿泊業
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

いずれの分野も、日本人労働者の確保が難しく、将来的な人材不足が深刻化すると見込まれています。

特定技能1号と2号の違い

  • 特定技能1号
    • 在留期間:通算5年まで
    • 家族帯同:原則不可
    • 技能水準:基本的な技能(試験合格や技能実習修了で証明)
    • 主な対象分野:14分野の大半
  • 特定技能2号
    • 在留期間:更新可能(事実上の長期就労・永住も視野)
    • 家族帯同:可能
    • 技能水準:熟練レベルの技能(より高い専門性が必要)
    • 主な対象分野:建設業・造船業(今後拡大の可能性あり)

制度の現状と採用数

出入国在留管理庁の発表によると、2023年末時点で特定技能の在留外国人数は約17万人に達しています。そのうち最も多いのは介護分野で約6万人、次いで外食業・飲食料品製造業・建設業が続きます。特定技能制度は年々利用が拡大しており、今後さらに対象分野や在留資格要件が緩和される可能性があります。

制度の今後に関しては、別の「特定技能制度は今後どうなる?政府が求める外国人材像と企業が今すべきこと」で見解を述べていますので、併せてご覧いただけると良いかと思います。

👉 制度の公式情報はこちら:特定技能制度の概要(外務省)

外国人材雇用のメリット – 企業にとっての実利と可能性

特定技能外国人の雇用には、人手不足解消だけでなく、企業の競争力強化や職場環境の改善など、多岐にわたるメリットがあります。ここでは、業界別にその効果を具体的に見ていきましょう。


介護業界 – 利用者満足度と離職率改善

介護業界は、特定技能制度の導入による恩恵が最も大きい分野のひとつです。

メリット

  • 人材不足の解消:日本で介護福祉士として働きたいと考える外国人は、真面目で意欲的かつ若い人材が多い傾向。日本の介護スキル・知識を身につけ、母国の家族を支援したいという明確な目標を持っていることが理由の一つに挙げられる。
  • 国際貢献:介護現場で身につけたスキル・知識を母国でも活用する可能性がある。また、母国への家族への仕送りを通して、その家族の生活水準向上に貢献する可能性を秘めている。
  • 現場の雰囲気を刷新:新しい考え方・文化・価値観が施設に入ることで、多様性への理解を深められる可能性を秘めている。

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外食業界 – 多言語対応と売上向上

外食業は、特定技能制度で最も多くの外国人材を受け入れている分野のひとつです。特に都市部のチェーン店や観光地の飲食店です。

成功事例

飲食チェーンが、深刻な人手不足を背景に特定技能制度を活用し、ネパール人の正社員を7名採用

  • 労働力不足を解決:外国人材は即戦力として活躍し、飲食店の運営を支える存在です。特に、夜間や休日勤務を厭わない労働意欲の高さが多くの店舗で評価されている。
  • 多国籍な視点:外国人スタッフを採用することで、多文化的な視点が店舗運営に取り入れられます。外国人観光客に対応したサービスや多国籍メニューの開発など、新たな事業展開の可能性が広がる。

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建設業界 – 長期プロジェクトへの人材確保

建設業では、技能労働者の高齢化が大きな課題です。特定技能外国人は、現場作業の即戦力として貢献するだけでなく、特定技能2号への移行により長期就労も可能となるため、将来的な戦力として期待されています。

成功事例

東京都の型枠大工・コンクリート工事を行う株式会社川村工業は、人手不足を解消するため、外国人技能実習生の受け入れを積極的に推進しました。外国人材が現場の職人として定着するだけでなく、企業の成長の原動力となっている。

  • 事業規模の拡大:外国人材の雇用により、対応できる現場件数が大幅に増加。全国各地からの依頼に対応できる体制が整い、企業の売上拡大に貢献した。
  • 新事業部の立ち上げ:外国人材によって生み出された資金と余力を活用し、海外から最先端の施工機材を導入。これによって、機械化された土間工事を行う新規事業部を立ち上げることに成功。
  • グローバル展開:外国人技能実習生の中には、帰国後に母国で日本の技術を活かした会社を設立する者もおり、川村工業は彼らと協業することで海外展開の足がかりを築いている。

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宿泊業界 – インバウンド需要への対応

宿泊業界もまた、特定技能制度の活用が進む分野です。特に観光地や都市部では、多言語対応ができる人材が不可欠です。

成功事例

国内外から多くのお客様を迎えるハイアットリージェンシー東京様は、増加するインバウンド需要への対応強化と、リノベーション工事に伴う人材採用という課題に直面。インド人材を採用。

  • 意欲の高い従業員の確保とインバウンド需要に対応:候補者の多くがホスピタリティ系の大学を卒業し、半年以上のインターン経験を持つなど実務経験が豊富で、高い職務レベルの高さや仕事への意欲を持っている。

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外国人材雇用の「見えないメリット」

単に人手不足を補うだけでなく、以下のような副次的な効果も注目されています。

  • 社内の活性化:外国人材が加わることで、新しい価値観やアイデアが生まれやすくなる。
  • 社員教育の強化:外国人材への指導を通じて、日本人社員のマネジメント力が向上。
  • ブランド価値向上:多様性を重視する企業として、顧客や投資家からの評価が高まる。

外国人材雇用のデメリットと課題 – 注意すべき落とし穴

特定技能制度を活用することで多くのメリットを得られる一方で、企業が直面する課題やリスクも存在します。これらを理解し、適切に対策を講じることが、外国人材活用を成功させる鍵となります。


コスト面での負担

外国人材を雇用する際には、採用や教育、生活支援などに追加コストが発生します。

  • 採用コスト:海外からの採用活動には仲介機関への手数料や渡航費が必要。
  • 教育コスト:日本語研修、ビジネスマナー指導、安全研修などを社内で整備する必要がある。
  • 生活支援コスト:住居の手配、役所手続きのサポート、生活相談窓口の設置など。

例えば、ある製造業の企業では、外国人技能者10名を受け入れる際に初年度で約500万円の追加費用を計上しました。ただし、その後の生産性向上によって2年目以降はコストを上回る効果が出ています。
つまり、外国人材を「コストセンター」から「プロフィットセンター」へ移行することが可能なのです。


文化的・価値観の違いによる摩擦

多国籍の人材が働くことで、多様な価値観が交差します。しかし、それが原因で誤解やトラブルが発生することも少なくありません。

  • コミュニケーションの齟齬:日本人特有の曖昧な表現や「空気を読む」文化は、外国人には理解しにくい場合がある。
  • 労働観の違い:時間に対する考え方や働き方への姿勢が異なるため、トラブルにつながるケースも。
  • 宗教・習慣の違い:食事制限や祈りの時間の確保など、企業側が理解を示す必要がある。

実際にある外食企業では、シフト調整の際に「宗教上の理由で特定の日は働けない」という外国人スタッフの要望があり、日本人スタッフの負担感が高まるという問題が起こりました。最終的に「シフト共有システムの導入」によって調整が容易になり、摩擦を最小化できた事例もあります。


法制度や手続きの複雑さ

特定技能制度を利用するには、在留資格や入管手続きに関する専門知識が不可欠です。

  • 在留資格更新の管理:期限を過ぎると不法滞在のリスクが発生。
  • 各種申請書類の煩雑さ:法務省や入管庁に提出する書類は多岐にわたり、専門的な知識が必要。
  • 制度改正の頻度:外国人材関連の法律やガイドラインは頻繁に改定されるため、常に最新情報を把握する必要がある。

このため、多くの企業は「登録支援機関」と呼ばれる外部機関と連携して手続きを進めています。しかし、登録支援機関にも質の差があり、信頼性の低い機関を選んでしまうとトラブルの原因となります。
そのため、こう言った問題を回避するために、「【2025年最新】特定技能外国人雇用で失敗しない受け入れ機関と登録支援機関の選び方・活用法」で詳細を説明しています。


離職・転職のリスク

外国人材も一度採用すれば必ず定着するわけではありません。特に以下のようなケースでは離職が起きやすくなります。

  • 給与や待遇が競合他社より低い場合
  • 日本語や生活面で十分なサポートがない場合
  • 職場での孤立や人間関係の問題

例えば、ある介護施設では外国人スタッフ5名のうち2名が1年以内に退職しました。その理由は「他施設の方が給与が高かった」ことに加え、「職場に相談相手がいなかった」ことでした。対策として、施設側は「外国人向け相談窓口」を設置し、日本人スタッフにも異文化理解の研修を導入。結果として翌年以降の離職率は大幅に改善しました。


地域社会との共生課題

外国人材の受け入れは企業内だけでなく、地域社会全体にも影響を及ぼします。

  • 生活習慣の違いから地域住民との摩擦が生じるケース
  • 外国人児童の教育環境が整っていない自治体もある
  • 医療・福祉サービスの利用に際して言語的な障壁が存在

こうした課題は、企業だけでなく自治体や地域住民と協力して、多文化共生という観点で解決していく必要があります。

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