1号特定技能外国人支援計画書は、支援体制の有無を示す申請書類ではなく、現場で「いつ・誰が・どの方法で支援するか」を確定させる設計図です。義務的支援の九つの区分のうち、実施した時点では何も完了せず、その後の継続によって初めて成果が現れる項目は「日本語学習の機会の提供」だけです。
この記事は2026年9月時点の制度・運用と、出入国在留管理庁が公開している参考様式第1-17号の記載例を前提に、登録支援機関の支援責任者・支援担当者と、育成就労制度への移行を見据える監理団体の担当者に向けて書いています。
この記事でわかること
- 参考様式第1-17号の欄構成と、2025年4月に新設されたⅤ共生施策関係欄の記載内容
- 実施予定欄・委託の有無欄でつまずきやすい書き分けと、中立性・適正性の確認欄の違い
- 義務的支援の九区分が求める内容と、定期面談をオンラインで実施するための条件
- 日本語学習支援が形骸化したときに、届出と育成就労移行の場面で何が起きるか
- 担当者が替わっても止まらない日本語学習支援の仕組み化の手順
1号特定技能外国人支援計画書とは何か?
1号特定技能外国人支援計画書は、特定技能1号の外国人を受け入れる機関に作成が義務づけられた法定書類です。出入国在留管理庁の参考様式第1-17号を使用し、在留資格認定証明書交付申請などの添付書類として提出します。記載内容は実施義務を伴い、計画どおりに実施しなければ改善命令や登録取消しの対象となります。
支援は在留資格の適正な運用を支える要件です
来日直後の生活基盤づくりを本人任せにすると、就労の継続そのものが成り立ちません。そのため支援は「あれば望ましいサービス」ではなく、在留資格の適正な運用を支える要件として位置づけられています。制度の全体像は特定技能制度の全体像と受け入れロードマップで整理しています。
作成義務は受入れ機関にあり、実務は登録支援機関が担います
作成義務者は特定技能所属機関、つまり受入れ企業です。支援業務の全部または一部を登録支援機関へ委託でき、全部を委託した場合は支援体制に関する基準を満たすものとして取り扱われます。ただし委託は責任の移転ではなく、委託先が計画どおりに支援していなければ受入れ機関も指導の対象になり得ます。登録支援機関側の要件については登録支援機関の登録要件厳格化もあわせてご確認ください。
支援計画書にはどの項目を記載するのか?
参考様式第1-17号は、Ⅰ支援対象者、Ⅱ特定技能所属機関、Ⅲ登録支援機関、Ⅳ支援内容、Ⅴ共生施策関係の五つの欄で構成されています。Ⅴ欄は2025年4月に新設された欄で、地方公共団体が実施する共生施策を確認したことを記載します。Ⅱ欄の支援業務を行う体制の概要は自社で支援を実施する場合のみ、Ⅲ欄は支援計画の全部を登録支援機関に委託する場合のみ記載します。
Ⅴ共生施策関係欄は事業所所在地と住居地を分けて記載します
Ⅴ欄には、支援対象者が活動する事業所の所在地と、支援対象者の住居地について、それぞれ共生施策を確認した地方公共団体(市区町村)名、確認日、確認方法を記載します。確認方法はホームページかその他の方法の選択式で、その他を選んだ場合は括弧内に具体的な方法を書きます。住居地が事業所と同じ自治体であれば「同上」にチェックし、異なる場合は別の自治体名と確認日を記載します。
見落としやすいのは、事業所と住居地で自治体が分かれるケースです。社宅が隣接市にある、住居は本人が自分で契約しているといった場合、確認すべき自治体は二つになります。様式の末尾には「上記の支援は、地方公共団体が実施する共生社会の実現のための施策を踏まえ、適切に実施します」という確認文が置かれており、Ⅴ欄は単なる調査記録ではなく、支援内容そのものが地域の施策を踏まえていることの表明になっています。
つまずきやすいのは実施予定欄と委託の有無欄の書き分けです
実施予定欄は該当するものにチェックし、「有」であれば実施時期を簡潔に記載、「無」であればその支援を実施しない理由を括弧内に記載します。委託の有無欄は、受入れ機関が支援の一部を第三者へ委託する場合にのみ「有」とし、自社で支援を行う場合と登録支援機関に全部を委託する場合は「無」と記載します。空欄にはしません。
登録支援機関は支援を再委託できないため、全部委託の様式では委託の有無はすべて「無」になります。記載例(登録支援機関に支援の全部を委託する場合)にも「登録支援機関において、支援の再委託を行うことはできませんので、『委託の有無』は全て『無』となります」と明記されています。全部委託なのに一部の区分だけ「有」になっている計画書は、この一文と矛盾します。
中立性と適正性は、自社支援か全部委託かで記載する欄が違います
支援責任者・支援担当者に求められる要件は、自社支援と全部委託で確認欄そのものが異なります。自社で支援する場合はⅡ欄で「支援の中立性を確保していることの有無」を、登録支援機関に全部委託する場合はⅢ欄で「支援の適正性を確保していることの有無」を記載します。二つは似た概念ですが、問われている内容が違います。
| 記載する欄 | 確認事項 | 問われている内容 |
|---|---|---|
| Ⅱ欄(自社支援) 支援の中立性 |
支援責任者・支援担当者が支援対象者と異なる部署の職員であるなど、当該対象者に対する指揮命令権を有しないこと。異なる部署であっても指揮命令をし得る立場にないこと | 社内での立場の分離 |
| Ⅲ欄(全部委託) 支援の適正性 |
支援責任者が特定技能所属機関の役員の配偶者、2親等以内の親族、役員と社会生活において密接な関係にある者、過去5年以内に役員または職員であった者ではないこと。支援責任者・支援担当者が登録支援機関の登録拒否事由に該当しないこと | 受入れ機関との関係の独立 |
自社支援は「社内の指揮命令系統から切り離せているか」、全部委託は「受入れ企業と人的につながっていないか」が論点です。自社支援から全部委託に切り替えた際に、以前の様式の感覚で中立性の要件だけを確認して済ませてしまうと、適正性側の親族要件や過去5年の在籍要件を見落とすことになります。
複数名をまとめる場合は名簿を添付します
支援対象者が複数名で支援内容が同一であれば、Ⅰ欄の氏名に「別紙の名簿のとおり」と記載し、Ⅰ欄の事項を記載した名簿(任意様式)を添付できます。ただし申請を同時に行う場合に限られ、計画書自体は全員に交付する必要があります。末尾には、翻訳文の交付を受け内容の説明を受けて十分に理解した旨の本人署名欄と、作成責任者の氏名欄があります。
義務的支援の各区分は具体的に何を求めているのか?
義務的支援は10項目と呼ばれますが、参考様式第1-17号のⅣ欄は1から9までの九つの区分にまとめられています。「公的手続等への同行」も独立した区分ではなく、生活オリエンテーションの情報提供内容に含まれます。区分ごとに実施予定・委託の有無・支援担当者を書き分け、1から4までと9には実施方法の欄が追加されます。
事前ガイダンスの提供
在留諸申請より前に実施します。労働条件や活動内容に加え、保証金の徴収や違約金契約の禁止、入国の準備に関し外国の機関に支払った費用の額と内訳、支援に要する費用を本人に負担させないことなど、様式ではaからjまでの十の情報提供内容が並びます。実施方法は対面かテレビ電話装置を選び、実施言語と通訳者の所属・氏名、実施予定時間を記載します。確認書(参考様式第5-9号)は支援を行う事務所に備え置く必要があります。事前ガイダンスの実務は入国前ガイダンスの設計と実施手順で扱っています。
出入国する際の送迎
到着空港等での出迎えと事業所または住居までの送迎、出国予定空港等までの送迎と保安検査場入場までの補助を記載します。すでに在留している方を受け入れる場合、出迎えの欄は「無」で差し支えありません。注意したいのは送迎方法で、車両による送迎は道路運送法上の許可がなければ違反となるおそれがあるため、許可がない場合は公共の交通機関を選びます。
適切な住居の確保と生活に必要な契約に係る支援
住居支援は、本人が賃貸借契約を結ぶ、受入れ機関が借り上げて提供する、自己所有の社宅等を提供するの三類型から選びます。居室の広さは1人当たり7.5平方メートル以上、寝室で判断する場合は1人当たり4.5平方メートル以上のいずれかにチェックし、同居人数も記載します。
居住費を徴収する場合は、その額が実費に相当する適正な額であることの説明が必要です。借上物件であれば、借上げに要する賃料を入居する特定技能外国人の人数で除した額が基準になります。この賃料には管理費・共益費等を含み、敷金・礼金・保証金・仲介手数料は含みません。自己所有物件の場合は、実際に建設・改装等に要した費用、物件の耐用年数、入居人数を勘案して合理的と説明できる額を記載します。あわせて預金口座の開設、携帯電話、電気・水道・ガスの各契約について、情報提供と必要に応じた同行を記載します。
生活オリエンテーションの実施
入国後に遅滞なく実施します。生活一般、届出等の手続とその同行補助、相談・苦情の連絡先と申出先の機関、十分に理解することができる言語により医療を受けることができる医療機関、防災・防犯と緊急時対応、出入国または労働に関する法令規定の違反を知ったときの対応方法までを扱います。実施方法は対面のほかテレビ電話やDVD等の動画視聴も選べ、確認書は参考様式第5-8号です。実施方法に動画視聴が認められている点は、複数の受入れ先を抱える支援機関ほど運用に効いてきます。案件ごとに通訳を手配するより、母国語で見られる動画を用意しておくほうが実施の確実性が高く、当社が提供しているIPPOでも生活オリエンテーション動画と事前ガイダンス動画を多言語で用意しています。
日本語学習の機会の提供
様式ではa・b・cの三つの方法が並び、実施するものを選びます。aは日本語教室や日本語教育機関に関する入学案内の情報を提供し、必要に応じて同行して入学の手続の補助を行うこと。bは自主学習のための日本語学習教材やオンラインの日本語講座に関する情報を提供し、必要に応じて教材の入手やオンライン講座の利用契約手続の補助を行うこと。cは本人との合意の下、日本語教師と契約して日本語の講習の機会を提供することです。
実施しないものは「無」とし、理由を括弧内に記載します。記載例では、cを実施しない場合に「上記aまたはbの方法で実施予定」と書く形が示されています。三つすべてを実施する必要はありませんが、選んだ方法について情報提供だけでなく手続の補助まで行うことが求められている点は、a・b・cに共通しています。
相談又は苦情への対応
相談や苦情に遅滞なく十分に理解できる言語で対応し、必要に応じて関係行政機関の案内と同行を行います。様式では曜日ごとに対応可能な時間帯を書き、相談方法と緊急時の連絡方法を分けてチェックします。通常の相談対応は複数の職員を確保して就業時間外にも対応できることが求められ、緊急時は基本的にいつでも連絡を受けられる体制が望まれます。
日本人との交流促進に係る支援
地方公共団体やボランティア団体等が主催する交流の場の情報提供、自治会等の案内、行事への参加手続の補助、必要に応じた同行と現地での説明を記載します。職場と住居の往復だけで生活が完結すると孤立が進むためです。進め方は社内コミュニティ構築と外国人材の定着支援でも整理しています。
非自発的離職時の転職支援
業界団体や関連企業を通じた次の受入れ先の情報提供、公共職業安定所等の案内と同行、推薦状の作成、求職活動のための有給休暇の付与、離職時に必要な行政手続の情報提供を記載します。職業紹介事業の許可または届出がなければ、紹介あっせんは実施できないため、記載例でも「職業紹介事業の許可を受けていないため実施予定なし」と理由を添えて「無」とする書き方が示されています。倒産等で支援を続けられなくなる場合に備え、代わって支援を行う者を確保する欄もあります。
定期的な面談の実施と行政機関への通報
本人と、その監督をする立場にある者それぞれと3か月に1回以上の面談を行い、生活オリエンテーションで提供した情報を改めて提供します。通報先は二系統です。労働基準法その他の労働に関する法令の規定に違反していることを知ったときは労働基準監督署その他の関係行政機関へ、資格外活動等の入管法違反や旅券・在留カードの取上げ等を知ったときは地方出入国在留管理局へ通報します。この区分だけは、ほかの区分の「支援担当者又は委託を受けた支援実施者」欄ではなく「支援責任者又は支援担当者」欄になります。
定期面談はオンラインで実施できますが、条件があります
定期的な面談の実施方法は、オンライン、対面、無線や船舶電話(漁船漁業のみ)から選べます。ただしオンラインを選ぶには条件があり、面談対象者がオンライン面談に同意していない場合と、面談対象者が対面の面談を希望する場合は、対面で実施しなければなりません。
様式の本人署名欄の近くには、「Ⅳ欄9アaの定期的な面談を実施する方法について説明を受け、その内容を十分理解し、オンラインまたは対面で実施することを希望します」という本人の希望表明欄が置かれています。つまりオンライン面談は、支援側が効率を理由に一方的に選べるものではなく、実施方法を本人に説明したうえで本人の希望を確認した記録とセットで成立します。遠隔地の受入れ先を複数抱える支援機関ほど、この確認を省略しないことが重要です。
日本語学習の機会の提供はなぜ他の区分と性質が違うのか?
日本語学習の機会の提供は、九つの区分のうち唯一、実施した時点では成果が確定しない支援です。送迎は実施すれば完了し、公的手続への同行も手続が終われば目的を達します。これに対して日本語学習は、機会を提供した時点では何も変わっておらず、本人が学び続けてはじめて能力として現れます。
実施記録と到達状態は分けて管理
日本語学習支援は、「実施した記録」と「到達した状態」を分けて管理する必要があります。二つを混同すると、書類は整っているのに現場の課題が解決しない状態が生まれます。教材を案内した日付は実施記録であって、本人がその教材でどこまで到達したかを示すものではありません。
三つの提供方法はどれを選んでも情報提供だけでは足りない
日本語教室の案内は教室の有無と定員に左右され、開講曜日が勤務シフトと合わないこともあります。教材やオンライン講座の情報提供は導入しやすい一方、学習が本人任せになりやすく継続率が課題になります。日本語教師と契約する方法は実効性が高い反面、講師の確保と費用、管理の負担が生じます。
いずれも入学や契約の手続まで補助することが様式上求められており、案内を渡すだけでは支援として不十分と評価される余地があります。学習の継続を左右するのは教材の質ではなく、何をどこまで学ぶのか、誰が進捗を見るのか、つまずいたときに誰へ聞くのかという三点の設計です。管理側の運用設計は外国人材の日本語学習管理の仕組みで扱っています。
日本語支援が形式的な記載にとどまると何が起きるのか?
日本語支援が様式を埋めるだけにとどまると、影響は二つの場面に表れます。一つは現場のコミュニケーション不全とそれに伴う離職、もう一つは届出と監査の場面で支援の実態を説明できなくなることです。いずれも、支援計画書を作成した時点ではなく、その後の運用で顕在化します。
コミュニケーションの不全は事業所の最多課題として数字に表れます
厚生労働省の令和7年外国人雇用実態調査によると、外国人労働者の雇用に関する課題(複数回答)で「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%と最も多く、前年の43.9%から2.3ポイント上昇しています。次いで「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.8%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が22.4%で、日本語の課題は2位以下に倍近い差をつけた突出した1位です。この調査は令和7年9月30日現在の状況について、外国人労働者を雇用する事業所を対象に実施されたものです。
注目したいのは、この割合が下がっていない点です。受入れが拡大すれば現場の経験も蓄積されるはずですが、実際には課題として挙げる事業所の割合は増えています。離職が発生すれば採用費と教育費の再負担が生じ、支援委託費を上回るコストになります。この構造は日本語力不足による契約打ち切りのコストでも整理しています。
2026年4月から定期届出は年1回になります
特定技能の定期届出は、令和8年(2026年)4月1日からルールが変わり、年1回に整理されました。対象期間は4月1日から翌年3月31日まで、提出期限は翌年5月31日までです。従来の四半期ごとの届出は2025年4月15日までの提出が最後で、二つの届出書は「受入れ・活動・支援実施状況に係る届出書」(参考様式第3-6号)に一本化されました。詳細は出入国在留管理庁「特定技能所属機関・登録支援機関による届出」で確認できます。
支援機関にとって見落とせないのは、提出主体の変更です。定期届出を提出するのは受入れ機関であり、登録支援機関は様式の別紙1・別紙2にあたる必要な書類等を受入れ機関に提供する立場になります。自機関で完結しないということは、記録が揃っていなければ受入れ企業の届出そのものを遅らせるということです。
届出の頻度が下がる一方で、随時届出の対象は残っています。支援計画の変更や支援責任者の変更、支援委託契約の変更・終了・新規締結、支援計画の実施が困難になった場合などは、発生の都度の届出が必要です。年1回の届出時期にまとめて記録を掘り起こすのではなく、面談・学習・相談の記録が発生時点で残る運用に切り替えておくことが現実的です。
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支援計画の整備とあわせて、受入体制の抜け漏れは確認できていますか?
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支援計画書の記載だけでなく、現場で定着を支える体制も同じく重要です。20項目で確認できます。
育成就労制度で日本語要件はどう変わるのか?
育成就労制度では、日本語能力が段階的な制度要件として明確に位置づけられます。就労開始までにA1相当以上、1年経過時にA2.1相当以上、育成終了時にA2.2相当以上という三段階が基本形で、分野によってはこれに上乗せがあります。制度の施行は令和9年(2027年)4月1日です。
A1・A2.1・A2.2の三段階が基本形です
技能実習制度には入国時点の日本語要件が実質的になく、教育水準は受入れ側の方針に委ねられてきました。これに代わる育成就労制度では、出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」が示すとおり、日本語教育の参照枠に基づく到達水準が段階ごとの要件になります。
| 段階 | 日本語能力水準 | 満たし方 |
|---|---|---|
| 就労開始まで | A1相当以上 | JFT-Basic・JLPTのN5等の試験合格、またはそれに相当する日本語講習の受講 |
| 1年経過時 | A2.1相当以上 | 試験(分野により水準の上乗せあり) |
| 育成終了時 | A2.2相当以上 | 試験(分野により水準の上乗せあり) |
水準の定義は公式に示されています。A2.2は日本語教育の参照枠A2相当のレベル、A2.1は参照枠A1に到達し、かつA2.2到達に向けて学習が進展しているレベルです。そして育成就労終了時と特定技能1号に求められる技能水準・日本語能力水準は同等とされており、A2.2に届かなければ特定技能1号へ移行できません。移行要件の全体像は育成就労から特定技能1号への移行要件で整理しています。
分野ごとの上乗せは軽視できません。たとえば自動車運送業分野のバス・タクシーはB1以上、鉄道分野の運輸係員はA2.2相当以上またはB1相当以上が求められ、介護分野ではA2.2相当以上に加えて日本語学習プランが必要とされています(B1相当以上の場合は不要)。「うちはA2.2まででよい」と一律に構えると、分野によっては要件を満たせません。
監理支援機関は育成就労計画の「目標」を通じて日本語に関与します
育成就労制度では、技能実習制度の監理団体は監理支援機関として再編され、許可制になります。許可基準は厳格化され、技能実習制度の監理団体であっても監理支援機関の許可を受けなければ監理支援事業を行うことはできません。日本語学習への関与は、この再編と同時に制度の構造に組み込まれます。
鍵になるのが育成就労計画の認定制度です。育成就労計画は外国人育成就労機構による認定を受ける必要があり、計画には育成就労の期間(3年以内)、目標、内容等が記載されます。そしてこの目標には技能だけでなく日本語能力が含まれます。特定技能の支援計画書では日本語は義務的支援の一区分でしたが、育成就労では計画そのものの認定対象になるということです。
実務としては、受入れ前の学習履歴の把握、就労開始後の学習時間の確保、試験受検のスケジュール管理までを監理支援と一体で設計する必要があります。「入国前に送り出し機関が教えてくる」という前提では、A1からA2.2への3年間の積み上げは成立しません。本人意向による転籍時に求められる技能水準は1年経過時と同等とされているため、1年時点でA2.1に届いていない人材は転籍の選択肢も持てないことになります。
日本語学習支援はどう仕組み化すればよいのか?
日本語学習支援の仕組み化は、支援計画の実施時期欄に書ける粒度まで学習の中身を具体化することから始まります。学習手段、開始時期、週あたりの想定学習時間、到達目標、進捗確認の頻度と担当者、つまずいた場合の相談経路の六点を定めてください。この六点が決まっていれば、担当者が替わっても支援は続きます。
到達目標は試験の級と業務上の到達点を併記します
到達目標を試験の級だけで設定すると、現場の評価と接続しません。安全指示が理解できる、報告連絡相談ができるといった業務上の到達点を併記すると、日本語の進捗が現場の実感と一致します。育成就労の段階要件を見据えるなら、A2.1・A2.2の時期と業務上の到達点を同じ時間軸に並べておくと、受入れ企業への説明もそのまま通ります。
学習の進捗を可視化し、定期面談と届出に接続します
進捗が見えない状態では、3か月に1回の定期面談まで状況がわからず対応が後手に回ります。面談記録と学習記録を同じ時系列で管理しておけば、届出や監査対応の際にもそのまま説明材料になります。進め方は日本語学習状況の見える化で解説しています。可視化の目的を督促に置くと本人の負担感だけが増すため、つまずきを早期に見つける仕組みとして設計してください。
自社実施と外部委託は継続性の観点で判断します
自社で実施するか外部に委託するかは、費用の比較だけでは判断できません。判断軸は継続性です。担当者一人の熱意で成り立つ支援は、その担当者の異動や退職で止まります。計画どおりに実施できなくなれば、支援計画の変更として随時届出も必要になります。
学習機会の提供・進捗の把握・つまずきへの対応・記録の作成という四つの機能に分け、それぞれを自社で継続できるかを確認します。外部委託では、講師の交代時に学習の文脈が引き継がれる体制かを確認してください。定着支援全体の設計は外国人材の定着支援完全ガイドもあわせてご確認ください。
支援計画書を実行できる計画に変えるには何から始めればよいか?
まず着手すべきは、既存の支援計画の日本語欄に学習手段・到達目標・進捗確認の担当者が書かれているかの確認です。支援計画書は参考様式の欄を埋めれば完成しますが、制度が求めているのは記載ではなく実施です。様式のほとんどの区分は実施した時点で目的を達しますが、日本語学習の機会の提供だけは継続によって成果が決まります。
支援機関にとっては、提供できる支援メニューの差になります
登録支援機関・監理団体にとって、日本語学習支援の設計は自機関の競争条件に直結します。2026年4月からの定期届出の年1回化で、支援機関は受入れ企業に記録を提供する立場になりました。記録が揃わない支援機関は、受入れ企業の届出を遅らせる存在になります。
さらに2027年4月の育成就労制度の施行後は、日本語能力が育成就労計画の認定対象になります。監理支援機関として許可を受けても、受入れ企業から「日本語の目標をどう達成させるのか」と問われたときに答えを持っていなければ、委託先として選ばれません。自機関の体制を、担当者の属人性に依存していないか、講師や担当者が替わっても学習の文脈が引き継がれるかという二点で点検しておく価値があります。
施行前にできる準備は、続けられる形に直しておくことです
自機関が支援を受託している計画の日本語欄を開き、六点(学習手段・開始時期・週あたりの学習時間・到達目標・進捗確認の頻度と担当者・相談経路)が書かれているかを確認してください。書かれていなければ、次の変更届出のタイミングで書き足せます。担当者が替わっても続けられる形に直しておくことが、育成就労制度の施行前にできるもっとも確実な準備です。
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法改正への対応とあわせて、現場の定着体制は整っていますか?
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2027年4月の育成就労制度の施行により、日本語能力の要件は制度として明確化されます。支援内容の質そのものが、受入企業から選ばれる基準になるなかで、日本語教育を支援メニューに組み込んでおくことは、貴機関の大きな差別化要因になると考えています。法制度の変化にも先手を打ちながら、ともに対応策を考えていける支援機関様と出会えることを楽しみにしています。
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