日本語学習e-learning「IPPO」に、JLPT(日本語能力試験)のN2合格を目指す外国人社員のための動画レッスン40本が、2026年9月17日から加わりました。動画を制作したのは、日本語教員、藤田先生です。
ただし、外国人社員のN2対策は、優秀な日本語教師を確保すれば解決するわけではありません。合否を分けるのは授業の外で学習が続いているかどうかで、企業がそれを把握できなければ、受験直前まで「間に合うのか」がわからないままになります。この記事では、2026年4月から技人国の申請でN2が求められる場面が出てきた背景を押さえたうえで、講師の授業に学習管理の仕組みを組み合わせる意味と、IPPOの新しい動画レッスンの使い方を紹介します。
この記事でわかること
- 2026年4月の技人国の申請書類の変更で、N2が企業の実務にどう関わるようになったか
- 日本語教師を確保するだけではN2対策が完結しない理由
- 学習管理ツールを導入すると、企業のN2対策の何が変わるのか
- IPPOに加わったN2文法の動画レッスン40本と、制作した藤田先生の経歴
- 企業がIPPOで外国人社員のN2対策を進める5つの手順
なぜ今、企業が外国人社員のN2対策を支える必要があるのか?
企業が外国人社員のN2対策を支える必要が高まった最大の理由は、2026年4月15日以降の在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請で、対人業務に就く人にCEFR B2相当の言語能力の証明が求められるようになったことです。JLPT N2以上の合格は、B2相当とみなされる代表的な条件です。一方で、国内で受験したN2の合格率は直近の2025年12月試験で25.4%にとどまり、個人の独学だけでは合格までに時間がかかります。
技人国の対人業務で、N2が「証明書類」になった
出入国在留管理庁の在留資格「技術・人文知識・国際業務」のページによると、令和8年(2026年)4月15日以降の申請から、カテゴリー3または4に該当する所属機関は追加の書類を提出する必要があります。そのうちの1つが、翻訳・通訳やホテルフロントなどの接客のように、主に言語能力を用いて対人業務に従事する場合の「業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料」です。
同ページでは、次のいずれかに該当すれば日本語でCEFR・B2相当の能力を有するものとみなすとしています。
- JLPT N2以上を取得していること
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していること
- 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
- 日本の大学を卒業している、または高等専門学校・専修学校の専門課程等を修了していること
- 日本の義務教育を修了し、高等学校を卒業していること
海外の大学を卒業して来日した社員は、上記のうち学歴や在留年数の条件に当てはまらないことが多く、JLPT N2かBJTが現実的な証明手段になります。なお、在留期間の更新で以前から同じ業務を続けている場合は原則として提出不要とされていますが、審査の中で求められることがあるとも明記されています。申請の種別や自社のカテゴリーによって扱いが変わるため、申請書類の変更点は技人国申請のカテゴリー3・4に追加された書類と対応チェックリストで詳しく整理しています。
国内のN2応募者は1年で64.3%増えた
N2を目指す人は国内で急増しています。日本語能力試験「2026年7月試験 実施概要」(2026年7月3日時点の速報値)によると、国内のN2応募者は158,682人で、前年7月試験から64.3%増えました。国内応募者全体に占めるN2の割合も42%で、レベル別で最も多くなっています。
| レベル | 国内応募者数(2026年7月試験) | 前年7月試験比 |
|---|---|---|
| N1 | 64,053人 | 22.4%増 |
| N2 | 158,682人 | 64.3%増 |
| N3 | 105,262人 | 12.6%減 |
| N4 | 41,081人 | 46.9%減 |
| N5 | 6,950人 | 39.7%増 |
| 合計 | 376,028人 | 6.9%増 |
公式資料は増加の理由を説明していません。ただ、技人国の申請書類の変更が2026年4月に始まった時期と重なっていることは、外国人社員を雇用する企業として押さえておきたい動きです。
国内のN2合格率は約4人に1人
応募者が増える一方で、N2は簡単に合格できる試験ではありません。JLPTの公式統計で国内受験者の認定率(合格率)を見ると、直近3回はいずれも25〜28%の範囲にあります。2026年7月試験の結果は、2026年9月17日時点でまだ公式統計として公表されていません。
| 試験回 | 国内N2受験者数 | 国内N2認定者数 | 国内N2認定率 |
|---|---|---|---|
| 2025年12月 | 118,354人 | 30,109人 | 25.4% |
| 2025年7月 | 88,526人 | 24,474人 | 27.6% |
| 2024年12月 | 90,471人 | 23,927人 | 26.4% |
JLPTは国内では現在、7月と12月の年2回実施です。不合格になると次の受験まで約半年待つことになり、その間に申請や配置転換のタイミングを迎えてしまうおそれがあります。企業にとっては、1回の受験で合格できる確率をどう上げるかが実務上の論点になります。
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法改正への対応とあわせて、現場の定着体制は整っていますか?
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技人国で求められるN2への備えだけでなく、外国人社員が定着する職場づくりも20項目で確認できます。
無料チェックリストを確認する →日本語教師を確保するだけで、外国人社員のN2対策は解決するのか?
日本語教師を確保するだけでは、外国人社員のN2対策は解決しません。講師の授業で扱えるのは学習全体の一部で、合否を左右する授業外の反復学習が続いているか、誰がどの技能でつまずいているかを、企業が把握できないためです。N2合格を計画どおりに進めるには、質の高い授業に加えて、学習の継続と進捗を管理する仕組みが欠かせません。
授業の外の学習は、企業からも講師からも見えない
N2では、語彙や漢字、似た意味の文型の使い分けなど、繰り返し演習しないと定着しない内容が大きな比重を占めます。週に数回の授業があっても、授業と授業の間に社員が何をどれだけ学習したかは、講師にも人事にも見えません。
その結果、学習が止まっていたことに気づくのは、模擬試験の結果が出たときや受験の直前になりがちです。技人国の申請や配置転換の予定が決まっている場合、そこから挽回する時間は残っていません。
シフト勤務や複数拠点では、全員を同じ授業に集めにくい
講師1人が教えられる時間帯と人数には限りがあります。交代勤務や夜勤がある職場、拠点が分かれている企業では、授業の時間に全員をそろえようとするほど、現場のシフト調整という別の負担が生まれます。対象の社員が増えるたびに講師の時間を買い足す方式は、人数が増えるほど費用と調整の手間が膨らみます。
講師個人に頼ると、退職や交代で学習が途切れる
担当講師の頭の中にしかない「この社員はどの文法が弱いか」という情報は、講師が辞めたり交代したりすると引き継がれにくくなります。企業側に学習の記録が残っていなければ、新しい講師は社員の現在地を一から確かめ直すことになり、その間も受験日は近づいてきます。
講師を確保するだけの場合と、学習管理ツールを組み合わせる場合の違い
日本語教師による授業そのものが不要になるわけではありません。違いは、授業の外側を仕組みで支えられるかどうかにあります。
| 観点 | 講師を確保するだけの場合 | 学習管理ツールを組み合わせる場合 |
|---|---|---|
| 授業外の学習状況 | 講師にも人事にも見えにくい | 誰がいつどれだけ学習したかを管理画面で確認できる |
| 弱点の把握 | 講師の経験や小テストに頼る | 文法・語彙・読解・聴解の到達度をAIが数字で示す |
| 学習する時間帯 | 授業の時間に合わせる必要がある | スマホで各自の空き時間に学習できる |
| 対象者が増えたとき | 講師の時間や人数を増やす必要がある | IDを追加して同じ教材を配布できる |
| 講師が交代したとき | 理解度の引き継ぎが難しい | 学習の記録が企業側に残る |
| 担当者の工数 | 出欠確認・督促・進捗の集計を人手で行う | 教材の配信・採点・進捗の集計を自動化できる |
学習管理ツールを導入すると、企業のN2対策の何が変わるのか?
学習管理ツールを導入すると、企業は外国人社員の学習状況と弱点を数字で把握でき、学習が止まっている社員に受験前の段階で手を打てるようになります。IPPOでは、誰がいつどれだけ学習したかを管理画面で一元管理できます。人事担当者が教える側や集計係に回らなくても、N2対策を組織として進められます。
N2合格に足りない技能が、数字でわかる
IPPOでは、文法・語彙・読解・聴解の4技能の到達度をAIが分析し、どの技能が足りていないかを可視化します。学習者と管理者に同じ数字が見えるので、「もっと頑張って」という抽象的な声かけではなく、「聴解の到達度が低いので、今月はここを重点的に」という具体的な面談ができます。
学習状況を数字で見える化すると外国人社員の定着にどうつながるかは、学習状況の見える化で成果につなげる日本語教育管理の仕組みで詳しく解説しています。
教材の配信・採点・集計を自動化し、担当者の工数を増やさない
コース管理の機能を使うと、誰にどの教材を配るかを、職種・在留資格・レベル単位で設定できます。たとえば、技人国で対人業務に就く社員にだけN2対策のコースを割り当てる、といった運用が可能です。教材の配信・採点・進捗の集計はAIが自動で処理し、学習状況は出力もできるため、社内への報告資料づくりに担当者の時間を取られません。
対象者が増えても、1人あたりの費用を抑えられる
IPPO for Enterpriseの料金は利用人数に応じた月額制で、1人あたりの利用料は10名までのMiniプランで980円、300名までのProfessionalプランで290円です。講師の時間を人数分だけ買い足す方式と違い、対象者が増えるほど1人あたりの単価が下がります。料金プランの詳細はIPPOの機能・料金・提供会社で紹介しています。
IPPOに加わったN2文法の動画レッスンとは何か?
IPPOのN2対策動画レッスンは、JLPT N2で問われる文法事項を解説する40本の動画教材で、2026年9月17日から提供しています。制作したのは日本語教員・藤田先生です。合格実績のある講師の解説を、学習管理の仕組みの中で、シフトや拠点に関係なく全社員に同じ品質で届けられる点が、授業を個別に手配する場合との違いです。
追加された動画レッスンの内容
今回加わった動画は、N2の文法事項を説明する解説動画が中心です。N2では、似た意味を持つ文型の使い分けや、硬い書き言葉で使われる表現が増えます。問題集の解説文だけでは違いがつかみにくい文法を、講師の説明で理解してから演習に進めるようにしました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象レベル | JLPT N2 |
| 本数 | 40本 |
| 主な内容 | N2の文法事項の解説 |
| 字幕 | 日本語・英語 |
| 制作・解説 | 藤田先生(Kohei Fujita) |
| 提供開始日 | 2026年9月17日 |
講師の解説から演習・進捗管理までを、1つのIDで完結できる
動画を見ただけで問題が解けるようになるわけではありません。IPPOでは、藤田先生の動画で文法を理解したあと、演習問題と確認テストで定着させ、その結果をAIが分析して管理画面に反映します。文法の到達度が伸びない社員は該当する解説動画に戻って見直せますし、人事はその状況を管理画面で確認できます。
今回の40本は文法が中心のため、語彙・読解・聴解はIPPOの既存のJLPT対策教材と組み合わせて学習します。IPPOには10,000問を超える演習問題があり、スライドは1枚ごとに学習者の母語へ切り替えられ、日本語表示の漢字にはふりがなが付きます。日本語で話す・説明する力まで伸ばしたい場合は、日本語教師によるライブレッスン「IPPO TALK」と組み合わせる方法もあります。
N2対策動画を制作した藤田先生はどんな日本語教師か?
藤田先生(Kohei Fujita)は、企業や海外の大学に向けてオンラインで日本語を教えている日本語教員です。これまでに実施したオンラインレッスンの回数は2,000回を超えます。縫製工場で技能実習生の苦労を目の当たりにしたことが、日本語教師を志したきっかけです。
縫製工場で見た技能実習生の姿が原点
藤田先生が日本語教育の道に進んだのは、縫製工場で働いていたときの経験がきっかけでした。同じ職場で働く技能実習生が直面する困難を間近で見て、本当の意味で支え、学習者の立場に立って声を上げられる教育者になりたいと考えたといいます。
日本語教師の多くは、学校や教室で学習者と出会います。藤田先生は、外国人材が働く現場の側から日本語教育に入ってきた点が異なります。仕事と学習を両立しなければならない外国人社員の事情を、教室の外から知っている講師です。
難民支援から企業・海外大学まで、幅広い指導経験
藤田先生は、学習の目的も背景も異なる学習者を教えてきました。主な経歴は次のとおりです。
- NPOでの難民に対する日本語支援
- ブラジル人学校「HIRO学園」でのオンライン日本語教師・広報担当
- 日本語学校向けのオンラインレッスンと動画コンテンツの制作
- インド工科大学(IIT)でのオンライン講師
- 帝京科学大学でのゲスト講師
- 現在は複数の企業と海外の大学に向けてオンライン日本語レッスンを担当
これまでに指導した学生は200人以上、オンラインレッスンは2,000回以上にのぼります。日本語を母語とし、英語で会話ができるほか、複数言語でも自己紹介やあいさつは可能です。
藤田先生の経歴は藤田先生のLinkedInプロフィールでもご覧いただけます。
対話を中心にした、学習者主体の授業
藤田先生が授業で大切にしているのは、意味のある会話を生み出すことです。学習者の日本語レベルにかかわらず、講師が一方的に説明する時間を減らし、学習者自身が考えて発話する双方向のレッスンを組み立てています。
企業はIPPOで外国人社員のN2対策をどう進めればよいか?
企業がIPPOでN2対策を進めるときは、対象社員の洗い出し、IDの配布と到達度の確認、受験回から逆算したコースの割り当て、業務時間内の学習枠の確保、管理画面での定期的な進捗確認という5つの手順で進めると抜け漏れを防げます。JLPTの国内試験は7月と12月の年2回のため、申請や配置の予定日から逆算して、どの受験回で合格を目指すかを先に決めることが重要です。
手順1 N2が必要になる社員を洗い出す
最初に、技人国で翻訳・通訳や接客などの対人業務に就いている社員、または今後就く予定の社員をリストにします。あわせて、自社が技人国の申請でカテゴリー3・4に該当するか、各社員の次の申請が認定・変更・更新のどれにあたるかを確認します。対人業務の割合が大きい社員から優先順位を付けると、教育予算を配分しやすくなります。
手順2 IDを配り、現在の到達度を確認する
対象の社員にIPPOのIDを付与すれば、その日から学習を始められます。学習を進めるとAIが4技能の到達度を分析するので、N3に合格したばかりの社員と、N2の合格点まであと少しの社員を、同じ「N2を目指す社員」としてひとくくりにせずに済みます。過去にJLPTを受験している社員は、合否結果通知書の得点区分別の点数もあわせて確認すると、弱点をより具体的に特定できます。
手順3 受験回から逆算して、コースを割り当てる
受験回は、在留期間の満了日や配置転換の予定から逆算して決めます。国内のJLPTは7月と12月の年2回で、申込の締切は試験日の数か月前に設定されるため、締切も計画に入れておきます。受験回が決まったら、コース管理で対象の社員にN2の動画レッスンと演習を割り当てます。なお、JLPTの実施回数の増加は政府が2027年度に検討して結論を出す段階で、今後の動きは日本語能力試験(JLPT)2027年の日程と試験回数の検討状況で解説しています。
手順4 業務時間の中に学習枠を設ける
N2対策を本人の業務時間外の努力だけに任せると、繁忙期に学習が止まりがちです。1日15〜30分でも業務時間内に学習枠を設けると、学習の継続が「本人のやる気」から「職場の仕組み」に変わります。IPPOはスマホのブラウザで使えるため、休憩時間のような短い枠にも組み込めます。
手順5 管理画面で進捗を確認し、止まった社員に早めに声をかける
最後に、人事や拠点の責任者が月に1回程度、管理画面で進捗を確認します。停滞している社員が検知されたら、4技能の到達度を見ながら面談し、学習時間の取り方や重点を置く技能を一緒に決めます。進捗確認の頻度や声かけの方法など、社内で学習を管理する体制づくりは外国人材の日本語学習管理を成功させる仕組みの作り方にまとめています。
まとめ:N2対策は「講師の授業」と「学習管理」の両輪で進める
2026年4月15日以降、技人国で対人業務に就く外国人社員の申請では、JLPT N2などによるCEFR B2相当の日本語力の証明が求められる場面が出てきました。国内のN2応募者は2026年7月試験で前年から64.3%増えた一方、国内のN2認定率は直近3回とも25〜28%です。
合格率が3割に満たない試験で結果を出すには、合格実績のある講師の授業だけでなく、授業の外の学習が続いているかを企業が把握し、止まった社員に早めに手を打てる仕組みが必要です。IPPOなら、藤田先生によるN2文法の解説動画40本と、演習・AIによる4技能分析・停滞者の検知・進捗の集計までを1つのIDで運用できます。
N2が必要な社員の洗い出しと受験回の決定を済ませたら、学習の進捗管理までを仕組みとして回していくことをおすすめします。
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日本語教育の次は、定着支援の体制も確認しましょう。
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