2027年4月の進学から、日本語学校の在籍が1年に満たない留学生は、JLPT N2などの試験結果がないと専門学校に進めなくなります。
これまでは半年の在籍でも進学できる猶予がありましたが、それも2026年4月の入学分で終わりました。困るのは、肝心の試験のほうが受けにくくなっていることです。2026年12月の日本語能力試験(JLPT)は、国内のN1とN2が受付開始からわずか1週間で締め切られ、次の機会は2027年7月まで来ません。合格証が要る学生は増えているのに、受けられるのは年に2回だけ。日本語学校がJLPTの合格に焦るのは、この板挟みがあるからです。
そこでこの記事では、どの学生に試験の結果が要るのかを入学した月ごとに整理したうえで、12月のN2に申し込めなかった学生が今から受けられる試験や、合格実績が認定や定期報告でどう扱われるのかまでを見ていきます。内容は2026年10月12日時点の公表資料にもとづいています。
この記事でわかること
- 日本語学校がJLPT合格に焦る理由と、2026年に起きたこと
- 2027年4月の進学で試験の結果が要る学生(入学した月ごとの整理表)
- 12月のN2に申し込めなかった学生が、今から受けられる試験と結果が出る日
- JLPTの合格実績は、認定審査・適正校・定期報告でどう扱われるか
- 2027年7月の試験までに日本語学校が変えられること
なぜ今、日本語学校はJLPT合格に焦っているのか?
日本語学校がJLPT合格に焦っているのは、進学の手続きで合格証が要る学生が増えたのに、N2を受けられる機会が年2回のまま増えていないからです。2026年12月試験は、国内のN2が8月24日の受付開始から1週間で締め切られました。次の試験は2027年7月なので、2027年4月に進学する学生には使えません。
合格証が必要になる場面の増加
きっかけは2024年4月26日の省令改正で、専門学校に進むときの在籍期間の条件が6か月以上から1年以上に延びたことでした。在籍が足りない学生は、代わりに試験の結果で日本語力を示さなければなりません。大学と大学院も無関係ではなく、2027年度の入学からは「日本語教育の参照枠」のB2以上が目安になります。参照枠というのは文化審議会が2021年にまとめた日本語力の物差しのことで、A1からC2までの6段階のうち、B2は上から3番目にあたります。
年2回のままの受験機会
一方、JLPTを受けられるのは今も7月と12月の年2回だけです。そこへ応募が集中しました。2026年7月試験では国内のN2に158,682人が応募していて、前年の7月と比べると64.3%も増えています(速報値、日本語能力試験公式「2026年7月試験 実施概要」)。続く12月試験では、主催者が「会場の確保が非常に困難」と断ったうえでN1とN2を8月31日の正午に締め切り、再募集も行いませんでした(JEESのお知らせ)。このあたりの経過は「日本語能力試験(JLPT)2027年の日程と試験回数」に詳しく書いたので、ここでは繰り返しません。
しかも、受けられたからといって受かるわけではありません。2025年12月の国内N2は118,354人が受けて、合格したのは30,109人、認定率にして25.4%でした(日本語能力試験公式「2025年第2回(12月)データ」)。4人受けて3人が落ちる試験を、年に2回しか受けられないわけです。
「合格させたい」から「合格証がないと進めない」への変化
少し前まで、N2の合格証は進学先に学生を良く見せるための材料という位置づけでした。それが今では、持っていないと手続きそのものが進まない学生が出てきています。学校にとっての合格率も同じで、パンフレットに載せる数字だったものが、「来年の春、行き先が決まらない学生が何人出るか」を左右する数字に変わってきたと見ています。
2027年4月の進学で、日本語の証明が必要になるのはどの学生か?
2027年4月に専門学校へ進学する留学生のうち、日本語学校の在籍が1年に満たない人は、JLPT N2以上、日本留学試験の日本語200点以上、BJT 400点以上、JPT 525点以上のいずれかが必要です。半年の在籍で認める経過措置は、2026年4月25日までに専門学校へ入学した人で終わりました。在籍が1年以上ある人も、N2相当の力がないことが明らかだと、在留の審査で進学先で学ぶ力がないとみなされることがあります。
専門学校進学と在籍1年の要件
専門学校(専修学校・各種学校)に入る留学生の条件は、法務省令(上陸基準省令)で決まっています。日本語力について求められるのは、次の3つのうちどれか1つです。
- 告示校、または認定日本語教育機関の留学のための課程で、1年以上の日本語教育を受けた
- 専門学校で学べるだけの日本語力を、試験で証明した
- 日本の小学校、中学校、高校、大学など(学校教育法第1条の学校。幼稚園を除く)で1年以上の教育を受けた
このうち2つ目の試験は大学に進む場合と同じ4つで、JLPTならN2以上、日本留学試験なら日本語(読解、聴解・聴読解の合計)200点以上、BJTビジネス日本語能力テストなら400点以上、JPT日本語能力試験なら525点以上が基準です(出入国在留管理庁「高等教育機関等へ入学するための日本語能力について」)。
今回問題になるのは1つ目の在籍期間で、2024年4月26日の改正を境に6か月以上から1年以上へ延びました。ただ、すぐに切り替えると受け入れる側の準備が追いつかないため、入管庁は「令和8年4月25日までの間に専修学校又は各種学校に入学して教育を受ける者については、日本語教育機関における日本語の履修歴が半年であったとしても、その他特段の問題がなければ」在留資格の変更や更新を認める、という猶予を設けていました(留学生の在籍管理の徹底に関する新たな対応方針に基づく措置について(Q&A)、A7)。
ここで気をつけたいのは、日付の基準が日本語学校に入った日ではなく、専門学校に入学した日だという点です。つまり、2026年4月に専門学校へ入った学生までは猶予の対象でしたが、2027年4月に入る学生はもう対象になりません。面談で学生から「先輩は半年で専門学校に行った」と聞かされることがあるかもしれませんが、それは猶予があった年の話です。
入学期別の整理
では、具体的にどの学生が当てはまるのでしょうか。日本語学校に入学した月ごとに、2027年4月に専門学校へ進む場合の扱いを並べてみました。転校や休学をしていない学生を前提にしています。
| 日本語学校の入学時期 | 2027年3月末の在籍期間 | 試験の結果 | 確かめておくこと |
|---|---|---|---|
| 2025年4月 | 2年 | 要件としては不要 | N2相当の力があるか。進学先の出願要件にN2などの指定がないか |
| 2025年7月 | 1年9か月 | 要件としては不要 | |
| 2025年10月 | 1年6か月 | 要件としては不要 | |
| 2026年1月 | 1年3か月 | 要件としては不要 | |
| 2026年4月 | 1年 | 要確認 | 「1年以上」の数え方が公表資料では分からない。地方出入国在留管理局に聞く |
| 2026年7月 | 9か月 | 必要 | 4つの試験のどれかで基準に届いているか。12月のN2に申し込めたか |
| 2026年10月 | 6か月 | 必要 |
出入国在留管理庁の公表資料をもとに作成。在籍期間は月単位の概算です。2026年7月・10月入学の行は、2027年4月に専門学校へ進む場合の扱いです。2028年4月に進むなら在籍は1年を超えます。
表を見ると、試験の結果が要るのは下の2行、つまり2026年7月生と10月生だと分かります。去年までなら、10月に入学した学生を翌年の4月に専門学校へ送り出すことができました。ところが今年の10月生に同じ進路を組もうとすると、半年でN2相当の点数を取らせなければなりません。短期で進学させるコースを持っている学校は、当てはまる学生を名簿で先に拾っておいたほうがよさそうです。
判断に迷ったのが2026年4月生で、表では「要確認」としています。1年コースを3月に修了すればちょうど1年になるものの、在留資格の変更を申請するのは修了より前になることが多く、その時点で1年と数えてもらえるのかどうかが公表資料からは読み取れなかったからです。当てはまる学生がいる場合は、地方出入国在留管理局に聞いておくのが確実でしょう。
在籍1年以上でも残る審査上の余地
もっとも、来春の進学者の大半は2025年4月から2026年1月に入学した学生のはずで、在籍期間は足りています。それなら安心かというと、そうとも言い切れません。入管庁の同じページに、「日本語能力試験(JLPT)N2相当以上の日本語能力を明らかに有していない場合は、在留諸申請の審査において本来活動を行う能力がないものとみなされる場合があります」という一文があるからです。
Q&Aのほうはさらにはっきりしていて、在籍1年という条件は「必ずしもB2以上の日本語能力に相当するものとして設けたものではございません」と書いています(A6)。要するに、1年いたこと自体は日本語力の証明にならない、というのが入管庁の立場です。
もちろん「明らかに」という限定が付いていますから、N2に受かっていない学生がそろって不許可になる、という話ではありません。どこからが「明らか」なのかも示されていないのが実情です。それでも、N2に遠い学生を「1年在籍したから大丈夫」と送り出すのは危ういと見ています。なお、このQ&Aは2026年10月5日に一部が改定されたものの、どこが変わったのかは文書に書かれておらず、読み取れませんでした。専門学校進学とN2相当の関係については、「日本語学校向け自習ツールの比較と選び方」でも触れています。
大学・大学院進学とB2の目安
大学のほうも見ておきます。日本語で授業を受ける大学、短大、大学院、高専では、2027年度の入学からB2以上が目安になりました。といっても、確かめ方は試験に限られているわけではなく、到達目標がB2以上の認定日本語教育機関の課程を修了していることや、大学が面接などで自分で確かめることも認められています。
加えて、2029年度末までの入学者には経過措置があり、専門学校と同じ4つの試験のどれか、あるいは授業時間600時間以上でも足ります。当面はN2があれば通ると考えてよさそうです。もっとも入管庁は、この期間中も筆記や面接で実際にB2以上かどうかを確かめるよう、大学に勧めています。
大学の側にも、日本語力を厳しく見るだけの事情が生まれました。文部科学省が2026年4月28日の通知で、日本語で授業をするならB2以上が目安だと明確にすること、さらに退学・除籍・所在不明になった留学生を毎月10日までに報告することを、大学と高専に求めたからです(外国人留学生の適切な受入れ及び在籍管理の徹底等について(通知))。入口で日本語力を見ておかないと、あとで大学自身が困ることになります。志望校が試験で見るのか面接で見るのかは学校によって違うので、募集要項で確かめておいてください。
12月のN2に申し込めなかった学生に、今から間に合う試験はあるのか?
2026年10月12日時点で、国内でこれから申し込める試験は、JPT日本語能力試験とBJTビジネス日本語能力テストの2つです。日本留学試験の11月実施分は7月30日に出願が終わり、JLPTの次回は2027年7月です。ただし、JPTやBJTの成績を出願で認めるかどうかは進学先によって違うため、申し込む前に募集要項の確認が要ります。
残っている試験と結果が出る日
4つの試験について、これからの試験日と申込の状況、結果が出る日を表にまとめました。
| 試験 | これからの試験日 | 申込 | 結果 | 入管庁が示す基準 |
|---|---|---|---|---|
| 日本語能力試験(JLPT) | 2026年12月6日 | 締切済み(N1・N2は8月31日) | 2027年1月下旬にWeb、2月下旬に通知書 | N2以上 |
| 日本留学試験(EJU) | 2026年11月8日 | 締切済み(7月30日) | 2026年12月15日に公表予定 | 日本語200点以上 |
| JPT日本語能力試験 | 2026年11月22日 2026年12月20日 |
10月22日まで 10月20日〜11月20日 |
試験日から2週間以内にアプリで通知 | 525点以上 |
| BJTビジネス日本語能力テスト | テストセンターと日時を選んで予約 | 随時 | 点数は当日。成績認定書は受験の3日後 | 400点以上 |
2026年10月12日時点。出典:JEES「2026年第2回 実施案内」、日本学生支援機構「2026年度日本留学試験実施要項」、JPT日本語能力試験「日本で受験する」、BJT「結果通知」。日程と会場は変わることがあります。
このうちJPTは、名前こそJLPTと似ていますが、一般社団法人日本語能力試験実施委員会が実施している別の試験です。会場は11月22日が東京・大阪・愛知、12月20日が東京・大阪に限られるため、地方の学校は移動の手配まで考えておかなければなりません。2027年1月以降の日程はまだ主催者のサイトに載っていないものの、2026年は1月から3月にも毎月実施されていたので、年明けの回が出るかどうかは気にかけておきたいところです。
もう一方のBJTは、テストセンターのコンピューターで受ける方式です。空きさえあれば日を選べますし、点数はその日のうちに分かり、3日後には成績認定書も印刷できます。出願の締切が迫っている学生にとっては、この早さが助けになるはずです。
JLPTの主催者自身も、9月28日に、在留資格のために試験を受ける人に向けて、ほかの試験も検討するよう案内を出しています(日本語能力試験以外の日本語試験について)。
入管の要件と進学先の出願要件の違い
ただし、ここで1つ注意があります。表の右端に書いたのは、入管の審査で日本語力の証明として扱われる点数であって、出願で何を認めるかは専門学校や大学がそれぞれ募集要項で決めています。受験料を払ったあとで、志望校はJLPTしか見ないと分かった、という事態だけは避けたいものです。
ですから、試験を切り替える前に、進学先の募集要項で認められる試験と必要な点数を確かめてください。書かれていなければ、入試の担当に直接聞くのが早道です。そのうえで、出願の締切日と、合格後に在留資格の変更を申請する時期を押さえ、試験の結果や成績証明書がその日までに手元に届くかを逆算します。受けられる会場と学生の移動手段も、このときに一緒に見ておくとよいでしょう。
出願の時期は学校によってばらばらなので、11月のJPTで点数を取れたとしても、志望校の出願がすでに終わっていれば使えません。学生ごとに志望校、締切、今持っている成績を1枚に並べておくと、誰をどの試験に回すかがずっと決めやすくなります。
JLPTの合格実績は、認定や適正校の審査で問われるのか?
認定日本語教育機関の審査でも、出入国在留管理庁による適正校の選定でも、JLPTの合格率は基準に入っていません。認定審査で不認定や取下げの主な理由になっているのは、「日本語教育の参照枠」の理解不足による課程の不備です。ただし認定を受けた機関は、毎年6月30日までに、目標の日本語力に届いた人数や卒業時の日本語力を文部科学大臣に報告し、文部科学大臣はその概要を公表します。
認定審査で確認されている点
前提として、告示校(法務省の告示で定められた日本語教育機関)が2029年4月以降も留学生を受け入れるには、2029年3月31日までに文部科学大臣の認定を受けなければなりません。これまでに4回の審査があり、申請はのべ294機関、そのうち認定されたのは96機関でした。告示校に限れば、のべ128機関が申請して認定は41機関にとどまっています(文部科学省「認定日本語教育機関の認定結果」の各回の数字を合算。再申請した機関は重ねて数えています)。
申請の半分以上が審査の途中で取り下げられているのですから、簡単に通る審査でないことは確かです。けれども、その理由は合格実績ではありません。初回の審査のあと、中央教育審議会の日本語教育部会長は、不認定や取下げになった機関には「『日本語教育の参照枠』に対する理解が不十分であることに起因して」、目標の設定、授業科目、学習成果の評価方法を含む課程の内容が不十分なものが多かった、と書いています(部会長所見、2024年10月30日)。つまり落ちているのは課程の設計であって、合格率を上げれば認定に近づくとは、公表資料のどこにも書かれていないのです。なお、科目名に「JLPT対策」と付けることの扱いは、先ほどの自習ツール比較の記事で説明しています。
毎年6月の定期報告に載る数字
ところが、認定を受けたあとは話が変わってきます。認定校は毎年6月30日までに、文部科学大臣へ定期報告を出すことになっているからです。報告する項目は認定法施行規則の第9条に並んでいて、生徒の出席率に始まり、卒業者と退学者の数、そのうち課程の目標とする日本語力に届いた人数、進学者と就職者の数、さらに卒業時の日本語力を含む学習の成果まで含まれています。
しかも、出して終わりではありません。文部科学大臣はこの報告を取りまとめて概要を公表しますし(認定法第9条第2項)、学校自身にも、教育の状況を点検・評価して結果を公表する義務があります(同第8条)。概要がどこまで細かく出るのか、学校ごとの数字まで出るのかは、今のところ分かりません。ただ、卒業時の日本語力と進路を毎年数字でまとめて国に出すようになることは確かです。合格実績は、認定の入口では問われない代わりに、認定されたあとは毎年の報告に表れ続けます。
告示基準の7割ライン
告示校には、これとは別にもう1つ数字の基準があります。修了者のうち、大学などへ進学した人、就労系の在留資格に変わった人、そして「日本語教育の参照枠」のA2相当以上を試験などで示した人を合わせた数が7割を切ると改善策の報告が必要になり、3年続けて切ると告示から外される理由になる、というものです(日本語教育機関の告示基準解釈指針)。とはいえ、A2はJLPTでいえばN4あたりの水準ですから、N2の合格率を見ている基準ではありません。
適正校についても事情は同じで、選ばれる条件は、不法残留や在留期間の更新不許可などに当たった学生の割合が5%以下であることや、届出をきちんと出していることなどです。試験の合格率は入っていません(出入国在留管理庁「適正校等の選定について」)。もし「N2の合格率が低いと適正校から落ちる」という話を耳にしたら、一度基準の原文を確かめてみてください。
2027年7月の試験までに、日本語学校は何を変えられるのか?
2028年4月の進学を目指す学生がN2を受けられるのは、JLPTが年2回のままなら2027年7月と12月の2回です。2027年の日程は、2026年10月12日時点でまだ公表されていません。7月までに日本語学校が変えられるのは、受付の初日に出願を済ませる段取りと、授業の外の学習を教員が見られるようにすることの2つです。
2028年4月進学組に残る受験機会
ここからは来年度の話です。2026年12月試験の結果は、2027年1月下旬にWebで、2月下旬に通知書で届くことになっています。来年も同じ流れだとすれば、12月の結果が出るころにはもう出願を締め切っている学校が出てくるでしょう。そういう学校を志望する学生にとって、出願に合格証を間に合わせられる機会は7月の1回しかありません。ですから、2026年4月から10月に入学した学生にとっては、2027年7月が実質の本番になると見ています。10月生にいたっては、入学からわずか9か月でその日を迎えることになります。
受付開始日の出願体制
思い出しておきたいのは、2026年12月試験で、受付期間の後半に出すつもりでいた学生が申し込めなかったことです。同じことを繰り返さないためには、実施案内が出た時点で受験者を決め、MyJLPTの登録と顔写真の準備を先に済ませたうえで、受付の初日に出願を終えてしまうしかありません。具体的な準備は、先に挙げたJLPT 2027年の日程の記事に書きました。
授業と授業外の役割分担
入学から9か月でN2を受ける学生がいるとなると、授業だけで間に合わせるのは難しいと思っています。授業のコマ数は決まっていて増やせないので、語彙や漢字、文法の反復は授業の外に出し、授業では読む・聞く・やり取りする活動に時間を使う、という分担が現実的です。
ただ、そうすると今度は、授業の外が教員から見えないという問題が出てきます。紙の宿題であれば、分かるのは出したかどうかまでで、誰がどの分野をどこまで進めたのか、誰が2週間前から止まっているのかは、担任が1人ずつ聞いて回るしかありません。7月試験の受付は2026年の場合3月17日に始まりましたが、その時期になっても、この学生をN2で出願させていいかどうかを決める材料が手元にないわけです。
入口と出口で進む選別
試験で日本語力を示す流れは、実は入学の前にも及んでいます。留学の在留資格を申請するときの証明から学習歴が外れた件がそれで、詳しくは「「150時間学習歴」廃止と日本語学校経営への影響」に書きました。入学前も、在籍中も、進学のときも、点数や合格証を出す場面が増えているということです。
授業外の自習を、IPPOでどこまで把握できるのか?
IPPOは、この記事を運営する株式会社GLOBAL ASTRAが提供する、授業の外の自習に使うeラーニングです。JLPTはN5からN1までの学習と模擬テストに対応していて、目標の級に受かる可能性が学生ごとに%で表示されます。学習が止まっている学生は管理画面の一覧で分かり、国内20校以上の日本語学校・専門学校・大学で使われています。
ここから先は自社サービスの紹介です。前の章で触れた「授業の外が見えない」という困りごとに、IPPOのどの機能が当たるのかを表にしました。
困りごとと機能の対応
| 教員の困りごと | IPPOでできること |
|---|---|
| 7月に出願させていい学生が分からない | 今の学習状況から、目標の級に受かる可能性を%で表示 |
| どの分野が足りないのか分からない | 文法・語彙・読解・聴解の到達度を学生ごとに表示 |
| 誰が止まっているのか分からない | 進んでいる学生と止まっている学生を一覧で確認 |
| 単語が定着しない | 間違えた単語を短い間隔でもう一度出題(ライトナーシステム) |
| 入学したばかりの学生が説明文を読めない | 日本語を含む最大13言語に対応(教材により異なる)。スライド1枚ごとに言語を切り替えられ、ふりがなも出る |
| 文法の質問に答える時間がない | 学生の質問に日本語教師が答える |
| 授業の宿題と自習が別々になる | 自校のプリントや小テストを登録して宿題として配れる。提出も確認できる |
| N2文法の解説が授業に収まらない | 日本語教師が作ったN2文法の動画レッスン40本 |
合格可能性の%は、教員だけでなく学生本人にも見えるようになっています。次に何を勉強するかを決めるのはあくまで学生自身で、%はそのための判断材料です。一方、教員の側からすると、出願の時期になっても数字が伸びていない学生に早めに声をかけられますし、7月はN3を受けて12月にN2を狙う、といった計画の切り替えも、数字があれば相談しやすくなります。動画レッスンの中身を知りたい方は、「日本語教師が作成したN2文法の動画レッスン40本」をご覧ください。
費用と導入までの期間
料金は人数と契約の形によって変わるため、日本語学校向けの料金表をサービスサイトに載せています。無料のお試し期間もありますので、まずはお問い合わせください。運用を始めるまでは最短1週間で、生徒名簿をCSVでいただければ、一括登録まで当社で行います。サービスの全体像は「IPPOの機能・料金・提供会社」にまとめました。
IPPOで変わらないこと
正直に書いておくと、IPPOを入れてもJLPTの受験枠は増えません。受付の初日に出願する段取りは、学校と学生でやるしかないのです。合格を約束できるものでもありません。IPPOが受け持つのは、語彙・文法・読解・聴解の反復と、その進み具合を教員が見られるようにするところまでで、話す・書く活動や、進学先に合わせた面接の練習は、これまでどおり授業と担任の仕事として残ります。
2027年4月に進学する学生については、名簿を入学した月で分けて、試験の結果が要る学生と志望校の締切を突き合わせるのが先決です。そして2028年4月に進学する学生には、7月の試験までまだ9か月あります。貴校の学生が授業の外でどれだけ勉強しているのか、今のやり方で把握できているかどうかを、この機会に確かめてみてください。
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2025年の入管通達でN2要件が明文化されたいま、授業外の自習環境を整えることは生徒の進路を守ることになっています。学校の合格実績とビザ通過率を高める取り組みを、ともに進めていける学校様と出会えることを楽しみにしています。


